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花より根

東洋医学の和鍼治療院・牡丹

 

「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」

着物姿を連想すれば、美しい女性の姿勢を花びらに喩えていると見ることができます。
一方、それぞれの花の根に注目すれば、女性が罹患しやすい症状に効果的な生薬を、女性の容姿や行動から喩えていることがわかります。

「芍薬」の「立てば」は、「腹が立つ」ことを意味します。
女性は「ヒステリーを起こす」と言われるくらい、激しい怒りの感情を表します。
「怒」は肝の臓に関係し、気の流れ(疎泄機能)に影響を与えます。
肝は、のびやかで、ゆったりと快いことを好むので、抑鬱されたり、イライラしたりすることは情志活動の異常として、身体の症状となって現れます。
肝の気は、女性の月経と関係が深く、気の流れが悪くなると乳房や下腹部は張痛し、生理痛・閉経・不正出血・不妊症などを引き起こす原因となります。

気の流れが悪いことを「気滞」と呼ぶのですが、気の流れの改善には、芍薬の柔肝作用が良いとされています。
芍薬は「気」の病を治すことに優れている生薬の代表格です。

「牡丹」の「座れば」は、「じっとして動かない」こと、つまり「運動不足」を意味します。
身体を動かさないことも、気滞を生じ、血の流れに影響を及ぼします。
血流が悪くなると、組織に古い血が留まるようになり、「瘀血」と呼ばれる病理産物を形成することになります。
静脈が浮き出たり、毛細血管が拡張したり、月経時の血塊、筋腫や癌などの肉腫などを引き起こす原因なります。

牡丹皮には、活血化瘀の作用があり、瘀血を取り除くことに優れています。

牡丹は「血」の病を治すことに優れている生薬の代表格です。

 

「百合」の「歩けば」は、「ふらふらとして足腰に力がない」ことを意味します。

長患いによる体力の消耗や疲れやすいことで、気が不足する状態になります。

人体の気を「真気」と呼び、父母の腎の気から授かる「先天の気」と、呼吸と飲食によって補充される「後天の気」から成り立ちます。

両親から授かった生命力は、腎の臓に納まり、生命の器として大切に保つことが大切です。

腎の気が消耗することで、老化と関係する津液(体内の水分)の流れや保存に影響し、動悸・めまい・喘息・痺れ・難聴・耳鳴り・精神不安などの症状を引き起こします。

 

百合(ビャクゴウ)には、滋陰生津の作用があり、不足した陰(水)を補充して、軽度に熱を除く働きに優れています。

精神を安定させ、もろもろの虚熱の疾病を改善することができます。

百合は「水」と関係する病を治すことに優れている生薬の一つです。

 

東洋医学において、「気」・「血」・「水」は、人体を構成し、人体の生命活動を維持していくための基本物質であります。

「芍薬」・「牡丹」・「百合」の根は、生薬としての価値が高く、「気」・「血」・「水」の病気に対して、それぞれが優れた効能を発揮します。

特に「婦人科疾患」に効果があることから、女性の容姿や行動と関連する特徴をうまく表現し、結びつけていることがわかります。

 

 

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