ヒポクラテスの誓い
紀元前5世紀ごろのギリシアは、詩や哲学、演劇、美術などが盛んで、文化的にとても栄えていました。
この時代、ヒポクラテスはエーゲ海に浮かぶコス島で生まれ、古代ギリシア医学に大きな影響を与え、彼の医学における倫理観は現代まで受け継がれることになります。
当時のギリシアは、「病は神の怒り」として呪術的医療をしていました。
ところが、ヒポクラテスは健康・病気を自然の現象と考え、科学に基づく医学の基礎を築きます。
カルテを用いて、病の移り変わりを調べたことでも有名です。
医学における彼の功績から「医学の祖」と称されることになりました。
彼の弟子たちは、当時の西洋で最高峰であったギリシア医学を集めた「ヒポクラテス全集」を書き残します。
その中に、医師の職業倫理について書かれた宣誓文があります。
「ヒポクラテスの誓い」と称され、今もなお、世界中の医学教育で用いられています。
彼は医師として、治療方法の発展だけでなく、医療を求める人に対する倫理まで深く考え、医療に携わっていたといえます。
その内容の多くは、現在でも医療倫理の根幹をなすものです。
西洋医学であれ、東洋医学であれ、医療に従事するものが持ち合わせていなければならい倫理観をご紹介します。
「ヒポクラテスの誓い」小川鼎三氏の訳を参考に、ご紹介します。
医神アポロン、アスクレピオス、ヒギエイア、パナケイアおよびすべての男神と女神に誓う、私の能力と判断にしたがってこの誓いと約束を守ることを。
この術を私に教えた人をわが親のごとく敬い、わが財を分かって、その必要あるとき助ける。
その子孫を私自身の兄弟のごとくみて、彼らが学ぶことを欲すれば報酬なしにこの術を教える。
そして書きものや講義その他あらゆる方法で私の持つ医術の知識をわが息子、わが師の息子、また医の規則にもとずき約束と誓いで結ばれている弟子どもに分かち与え、それ以外の誰にも与えない。
私は能力と判断の限り患者に利益すると思う養生法をとり、悪くて有害と知る方法を決してとらない。
頼まれても死に導くような薬を与えない。それを覚らせることもしない。同様に婦人を流産に導く道具を与えない。
純粋と神聖をもってわが生涯を貫き、わが術を行う。
結石を切りだすことは神かけてしない。それを業とするものに委せる。
いかなる患家を訪れるときもそれはただ病者を利益するためであり、あらゆる勝手な戯れや堕落の行いを避ける。女と男、自由人と奴隷のちがいを考慮しない。
医に関すると否とにかかわらず他人の生活について秘密を守る。
この誓いを守りつづける限り、私は、いつも医術の実施を楽しみつつ生きてすべての人から尊敬されるであろう。もしこの誓いを破るならばその反対の運命をたまわりたい。
薬に頼らず、身体にやさしい治療法があります薬には副作用があり、長期的に使用したくはありません。 鍼灸治療は、みなさんの体質と体調に合わせた優れた治療法です。 | ||
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