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万事塞翁が馬

自然死

陰陽互根の法則は、陰陽思想において、とても重要です。
陰の中に陽があり、陽の中に陰があることで、交わりが生じ、互いに支えあうことを意味しています。
老子の言葉に、「禍は福の倚るところ、福は禍の伏れるところ」とあります。
まさに陰中の陽、陽中の陰を表しています。
陰と陽の関係は、瞬間的なものの有り様を述べることにも使われますが、時間の経過に伴う内容の変化をも述べることができます。
淮南子の一説に、「人間万事塞翁が馬」の故事があります。
辺境の土地に一人の翁が住んでいました。
ある日、翁の家で飼っていた馬が一頭、塞外へ逃げてしまいました。
この時、翁はこの禍がかえって福のもとになるかも知れないと思いました。
すると、しばらくして、逃げ出した馬が数頭の野生の馬を連れて帰って来ました。

まさに、翁の予感したとおりとなりました。
村の人々がそれを祝うと、翁はこの事が禍のもとになるかもしれないと村人に伝えました。
数年後、馬が好きになった息子が落馬をし、足を折るような大ケガをしてしまいました。
またしても、翁の予感は的中したのでした。
村人がお悔やみを言いに来ると、この事が逆に福のもとになるかもしれませんと答えたのでした。
落馬事故からしばらくして、戦争が起こり、辺境の村の若者たちはみんなかり出されることとなり、戦死してしまいました。
怪我で動けない翁の息子だけが助かったのでした。

「禍福は転々として糾える縄のごとし」と呼ばれるようになります。
二つの縄をよりあわせたように、禍と福、つまり陰陽は入れ替わります。
このように、陰と陽が入れ替わることを「転化」と読んでいます。

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