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寒と熱

自然死

東洋医学では、陰陽論をどのように用いるのでしょうか。

 

例えば、急に頭痛が出来て、熱っぽいと感じ始めたとします。

体温を測ると、38度を超えています。

身体もだるく、関節の節々が痛み、寒気でゾクゾクして、歯がガタガタするほどです。

こんな経験をしたことがある方は、おられないでしょうか。

たとえ経験がなくても、これらの症状を見て判断すると、風邪にひいたのではないかと思うのではないでしょうか。

 

この場合、ひどい寒気があり、38度を超える発熱もあります。

寒気を緩和するために身体を温めることを選択するのか、それとも発熱を抑制するために解熱剤を使ったり、氷で身体を冷やしたりすることを選択するのか、判断に困ることはありませんか。

この選択を誤ると生命を脅かすような重大な問題となります。

そのため、病を一様に考えることを諫めなければならないのです。

温めるのか、冷やすのかは、病にかかっている人の病の状態によって決まります。

それを細かく分類するために、陰陽の考え方が用いられています。

陽は熱、陰は寒であり、身体が熱であれば寒の治療、身体が寒であれば熱の治療となります。

これだけ見れば単純に思えるかもしれませんが、寒熱を見極めることが難しいところです。

 

そのため、東洋医学は体表観察を用いて、いろいろな角度から身体を分析をするようになりました。

これを多面的分析と呼んでいて、病の診断である「証」を立てることに活用します。

この「証」こそが、陰陽によって順序だてられたものになります。

 

このように東洋医学と陰陽論が切っても切れない関係にあることがわかってもらえたでしょうか。

森羅万象を捉えるために用いる陰陽論は、万物を陰と陽の二つに分けることだけが目的ではありません。

善と悪、精神と物体のように絶対的なものとして捉える西洋の二元論とことなり、東洋医学の陰陽は、お互いを生み出し、助け合うことで、調和に至るという考えに貫かれています。

このことを「同根」と呼んでいます。

対立する二つの要素が、同じところに根を下ろしていることで、分離することなく、協調しながら存在しているということです。

このことは、この世に生存している生命は、健康と病の要素を併せ持つ存在であることを教えてくれます。

健康の状態は絶対ではなく、心身のバランスが乱れると病の状態になります。

また病の状態であっても、それが絶対の状態とは言えず、自然治癒力と適切な治療によって、本来の健康な状態に戻ることができることを教えてくれます。

 

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