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全体性について
東洋医学の診断方法は、西洋医学のそれとは全く異なります。
西洋医学では、私たちの身体を「単なる物質」とみなし、機械と同じように取り扱います。
その一方で、東洋医学は、「自然と人」、「心と体」など、一つの集合体としての生命に「医療としてのまなざし」を向けています。
つまりは身体をバラバラに細分化するのではなく、分割できない一つの有機的なつながりがあり、常に調和を保とうとする働きを有しているものとして捉えているのです。
西洋医学のように、細分化した組織や器官から人体をみると、病はそれら一部分の故障や不具合とみなすことができます。
目に見える病巣を見つけることに西洋医学は優れています。
しかも働きを失った組織を取り除くことにも優れていて、レントゲン、超音波、CTスキャンなどを駆使し、小さな腫瘍を検知し、除去することに専念します。
しかしながら、それらをどれだけ駆使しても原因を突き止めることができないこともあります。
老化に伴う様々な症状を病気と見なして大量の薬を使用することは、副作用があることを踏まえると適切と言えるでしょうか。
また、複雑な現代社会において、生活環境やストレスが身体に影響を与える今日、目に見えない心との関連性を無視することができなくなっています。
部分だけにとらわれていては、体全体の不調を整えることは難しい現実があります。
体全体のバランスを整えることに、東洋医学は優れています。
それは、部分だけの気質的な病巣ではなく、全体の機能の改善を医療の目的としてきたことに現れています。
全体性とは、そのための基礎となる考え方です。
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