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和鍼治療院の症例

肉離れの治療

スポーツ選手を襲うアクシデント、その一つが「肉離れ」です。

 

筋肉の構造は、タンパク質からなる繊維状の細胞が束になっています。

筋肉には、平滑筋、心筋、横紋筋の3種類があり、この中でも我々がよく痛めるのは横紋筋で、別名「骨格筋」とも言われています。

この骨格筋(横紋筋)は、意識によって動かすことができる随意筋であり、両端が腱となって骨と骨を繋ぐ役割をし、収縮と弛緩を繰り返すようになっています。

筋繊維には基本的に自ら伸展する能力は無く、神経からの伝達により収縮のみをおこないます。

それでは、なぜ関節が屈曲や伸展をすることができるのでしょうか。

その答えは、関節には対立するように筋肉が配置されていて、骨を互いに反対方向から引っ張り合う関係になっているからです。

 

肉離れは、急激な筋肉の収縮が起こる場合に、筋繊維が損傷したり、断裂したりすることで発症します。

肉離れの原因は、筋肉の柔軟性と関係していると言われており、加齢による老化、過度の疲労の蓄積、運動不足などが影響します。

筋肉が硬いままの状態で運動を行うと、それだけで肉離れを起こす可能性が高まります。

運動前にストレッチを入念に行うことで関節の可動域を広げることが大切です。

しかも筋肉の収縮と弛緩を繰り返すような準備運動を行うことは、全身の筋肉に循環する血液を増加させることにもなるので、筋繊維を痛めることを予防できます。

 

どれだけ準備を重ねても、スポーツの世界では思わぬケガを負うことがあります。

「no pain no gain」の言葉が示すように、スポーツにおけるトレーニングは、身体の筋肉に過剰な負担をかけることと、その後の超回復による筋力アップなどによるパフォーマンスの向上を目的に行います。

それゆえ、疲労の蓄積度や運動の負荷を見誤ると、筋肉が急激な収縮に耐えることができず、肉離れをおこすことになってしまいます。

肉離れをおこしやすい部位は、下半身の筋肉を傷めることが多いようです。

ジャンプではふくらはぎ、ランニングでは太ももの裏や表の筋肉に負担がかかります。

負傷した場合、筋繊維が断裂することによる出血が見られることがあります。

最初は患部の周辺の皮膚に血液が浮き上がるのですが、次第に重力の影響で下方へと移動して行き、再び身体へと吸収されて消えます。

筋肉に痛みを感じた場合、痛みの強弱にかかわらず、「RICE」を行うことをお勧めします。

筋肉に少し違和感があるだけと油断すると、次に激しい動作をした際に、患部をさらに悪化させる危険性が高まります。

もしも筋肉にいつもと異なる感じを覚えたときは、素早く関節を動かすことや激しい動きを控え、きちんと筋肉の状態を観察することが重要です。

その結果、運動を控える必要を感じたのであれば、肉離れの完治を確認できるまでは通常の練習を行ってはいけません。

万が一、リハビリの途中で軽い痛みを感じた場合、それだけで筋肉を損傷し、患部を悪化させてしまうことにもなるからです。

 

肉離れをはやく治す秘訣は、発症時にしっかりと炎症を取り除くことにあります。

炎症がある間は、決して血流を高める行為をしてはいけません。

入浴やアルコールは控えましょう。

炎症が消失したのちは、血流を増加させて、筋繊維の回復を助ける方向に転換します。

睡眠や十分な栄養が必要で、患部の硬結が消失するまで負荷をかけないように慎重に行動することを心掛けましょう。

皮膚の上から筋肉を触診して、患部周辺の筋肉に硬結が無くなれば、リハビリを行うことができます。

トレーニングは、軽めの負荷から初めて、徐々に負荷を上げていくようにします。

リハビリの最中も柔軟性には細心の注意を払い、関節の可動域が正常に戻ることを優先してほしいと思います。

 

和鍼治療院では、「肉離れ」のような疾患であっても、東洋医学を用いて治療を行なっています。

東洋医学的な治療とは、単に痛めた筋肉を柔らかくするような「手当て」ではなく、身体に備わった治癒力を引きだし、筋肉そのものの回復力を助けることにあります。

負傷した場所にもよりますが、患部周辺に鍼灸を施術することはほとんどありません。

例え肉離れのような筋繊維の負傷であっても、それを治癒しようとするのは身体そのものですから、身体のバランスを整えることで回復力が増してまいります。

言葉だけでは解説が難しいのですが、この度H29年度8月に肉離れで負傷し、その後すぐに来院されたHさんの治療のプロセスを、写真を交えながら説明したいと思います。

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