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二人に共通する治療

  • 6月16日
  • 読了時間: 4分
異病同治 東洋医学の和鍼治療院
異病同治 東洋医学の和鍼治療院

ラグビー選手二人の症例から見えた東洋医学と生命力

先日、試合前日のラグビー選手二名の治療を担当する機会がありました。

一人は100kgを超える体重でスクラムの最前線を支えるFWの選手。

もう一人は俊足を武器にグラウンドを駆け回るBKの選手です。

体格もポジションも異なり、来院時に抱えていた症状もまったく違っていました。

FWの選手は、足首の捻挫後の腫れと違和感、肩鎖関節の痛み、さらに過去に頸椎ヘルニアと診断された首の不調を抱えていました。

一方、BKの選手は太ももの痛みを主訴に来院しました。さらに肩には脱臼癖があり、腕を上げる際の痛みや可動域の制限もみられました。

普通に考えれば、まったく別の治療になるように思えます。

しかし実際に診察を進めてみると、興味深いことが分かりました。

二人とも腰部や骨盤周囲に強い疲労が蓄積していたのです。

股関節の動きは低下し、骨盤のバランスも崩れていました。

そして実際に行った施術は、細かな違いこそあるものの、その九割近くが共通した内容となりました。

股関節を整える。

骨盤を整える。

腰部の負担を軽減する。

全身の連動性を回復させる。

その結果として、足首や肩、太ももなど、それぞれが抱えていた症状が改善していったのです。

東洋医学では、病名や症状だけを追いかけません。

肩が痛いから肩だけを診る。

腰が痛いから腰だけを診る。

そうではなく、身体全体の状態を診ていきます。

そのため、症状が異なっていても同じ治療になることがあります。

逆に、同じ肩こりという症状でも、患者さんによってまったく異なる治療になることもあります。

ここが東洋医学の特徴であり、面白いところでもあります。

アスリートの回復力

今回の症例で、もう一つ強く感じたことがあります。

それはアスリートの回復力の高さです。

正直なところ、二人とも試合前日の来院でした。

限られた時間の中でどこまで改善できるのか。

施術を行う私自身も確信を持てない部分がありました。

しかし翌日、試合の映像を確認して驚かされました。

FWの選手はスクラムで力強く組み合い、ボールキャリーでも積極的に前進していました。

BKの選手も前後半を通して走り続け、何度もグラウンドを駆け抜ける姿を見ることができました。

もちろん、これを鍼灸治療だけの成果と考えるつもりはありません。

そこには選手自身が持つ優れた回復力が存在しています。

私はこれまで多くのスポーツ選手を診てきました。

ラグビー、野球、サッカー、陸上競技など競技はさまざまですが、共通して感じることがあります。

それは選手たちの身体が驚くほど素直に反応することです。

怪我をしていても回復しようとする力が強い。

治療に対する反応も速い。

こちらの予想を超える変化を見せてくれることも少なくありません。

日々の厳しいトレーニング。

十分な栄養摂取。

身体のケアに対する高い意識。

競技に打ち込む真摯な姿勢。

そうした積み重ねが、強い生命力を育てているのだと思います。

慢性疾患との違い

一方で、慢性的な症状で悩まれている患者さんは事情が異なります。

肩こりや腰痛。

自律神経の不調。

めまいや頭痛。

あるいは長年続く様々な慢性疾患。

これらは一日や二日で作られたものではありません。

何年、あるいは何十年という年月をかけて積み重なった結果として現れています。

睡眠不足。

運動不足。

過労。

精神的なストレス。

食生活の乱れ。

こうした要因が複雑に絡み合いながら、現在の症状を形づくっています。

そのため、どうしても回復には時間が必要になります。

病気になるまでに長い年月がかかっているのですから、回復にも相応の時間が必要なのは当然のことです。

決して身体が弱いわけでも、治りにくい身体だからでもありません。

身体は常に回復しようとしています。

ただ、その力を十分に発揮できる環境が整っていないだけなのです。

東洋医学が見ているもの

東洋医学には「正気存内、邪不可干(せいきそんない、じゃふかかん)」という言葉があります。

身体の中に正しい気が充実していれば、病邪は容易に侵入できないという意味です。

現代的な言葉に置き換えるならば、生命力や回復力が充実している状態と言えるでしょう。

今回の二人のラグビー選手を診ていて、私はこの言葉を思い出しました。

彼らの身体には、確かに強い生命力が宿っていました。

そして鍼灸治療は、その生命力が十分に働けるよう環境を整える手助けをしているに過ぎません。

治しているのは鍼でも灸でもありません。

最終的に身体を回復させるのは、その人自身が持つ力です。

今回の症例は、東洋医学の診方の面白さと、人間が本来備えている回復力の素晴らしさを改めて感じさせてくれました。

身体は本来、回復する力を持っています。

その力を信じ、育み、支えていく。

それこそが東洋医学の役割なのかもしれません。

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