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坐骨神経痛―西洋医学と東洋医学

  • 9月15日
  • 読了時間: 3分

更新日:9月17日

東洋医学鍼灸の和鍼治療院
東洋医学鍼灸の和鍼治療院

坐骨神経痛とは、腰から臀部、大腿の後ろを通り、ふくらはぎから足先へと伸びる「坐骨神経」の経路に沿って痛みやしびれが現れる状態を指します。西洋医学的には「症状名」であり、必ずしも単一の疾患を示すものではありません。坐骨神経は人体で最も太い末梢神経であり、その走行のいずれかで圧迫や炎症が生じると放散痛が出現します。

よく知られている原因としては、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの脊椎疾患があります。しかし腰に異常がなくても、神経痛は起こり得ます。たとえば中殿筋や梨状筋といった臀部の深層筋が過緊張を起こすと、その下を走る坐骨神経を圧迫し、鋭い痛みやしびれを生むことがあります。いわゆる「梨状筋症候群」と呼ばれる状態です。西洋医学や指圧療法では、この筋肉の緊張を解き神経への圧迫を軽減することが主な対処法となります。

しかし、臨床の現場では筋肉をゆるめても、痛みが十分に改善しない場合が少なくありません。ここに東洋医学の視点が生きてきます。

東洋医学では「坐骨神経痛」という病名に直接対応する概念はなく、症状を引き起こす背景の「証」を立て、全身的に調整を行います。私の経験では、臀部の局所だけでなく、脊柱の歪みや内臓の疲弊が深く関与していることが多いと感じています。腎の弱りは腰椎を支える力を失わせ、坐骨神経に影響を及ぼします。脾や胃の働きが低下すれば、筋肉が硬直しやすくなり、腰から下肢の気血の巡りを阻害します。さらに肝の乱れは筋や腱を硬直させ、痛みを悪化させる要因となります。

実際、友人から坐骨神経痛の相談を受けた際、私は「この時期は夏の疲れや消化器の弱りが背景にあるのではないか」と伝えました。酷暑で冷たい飲食物を摂りすぎれば胃腸が傷みますし、強い日差しと発汗は腎精を損ないます。そうした季節性の負担が積み重なり、やがて脊柱や筋肉を介して坐骨神経に痛みとして現れることは、東洋医学的には珍しいことではありません。

和鍼治療院では、まず局所の筋肉の緊張を和らげて痛みを軽減する一方で、「なぜ筋肉がこわばったのか」という背景を必ず探ります。脈診・舌診・腹診といった体表観察を通じて証を立て、治療後の反応を検証しながら調整を進めていきます。そして、症状に適した養生法をお伝えします。重要なのは「万人に同じ養生」ではなく、その人の証に合わせた方法であること。これが他の治療院との大きな違いです。

坐骨神経痛は「お尻から足にかけての痛み」という局所の問題に見えても、実際には全身のバランスの乱れを映し出すことが多いのです。だからこそ、痛みの緩和だけでなく体質改善や再発予防にまでつながる、東洋医学的な総合的アプローチが有効となります。

私は、坐骨神経痛に悩む方々に「症状の背後にある体の声」に耳を傾けることの大切さをお伝えしたいと考えています。和鍼治療院では、患者さん一人ひとりの体質や生活背景を踏まえた上で、根本的な改善をめざした施術と養生指導を行っています。お困りの方はぜひ一度ご相談ください。

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