腰痛だけではない身体のサイン
- 6月2日
- 読了時間: 3分

新幹線移動と疲労の蓄積で現れた腰痛・肘痛・五十肩
(60代男性)
仕事で全国を飛び回る60代男性の症例をご紹介します。
この方は会社経営に携わっており、新幹線での長距離移動が頻繁にあります。移動中も休むことなく仕事を続けることが多く、慢性的な疲労を感じながらも忙しい毎日を送られていました。
さらに仕事上のお付き合いで飲酒の機会が多く、週末には趣味のゴルフを楽しまれています。
もともと体力には自信がありましたが、数か月前から右のお尻から腰にかけて痛みを感じるようになりました。
特にしゃがむ動作が困難で、ゴルフのスイング時にも違和感が強く出る状態でした。
来院された最大の理由は、
「三週間後に予定しているゴルフまでに腰を何とか治したい」
というものでした。
腰痛だけでは説明できない身体の状態
診察を進めると、腰痛以外にもいくつかの問題が見つかりました。
まず右肘周辺に慢性的な痛みがあります。
さらに肩の動きを確認すると、右肩の挙上制限も認められました。
患者様自身は肩の動きの悪さを年齢によるものだと思っておられましたが、左右差は明らかで、正常な状態とは言えませんでした。
東洋医学的な診察では、全身に疲労が蓄積しており、とくに右半身へ負担が集中している状態でした。
長時間の移動による身体の拘束。
多忙な仕事による疲労。
飲酒機会の多さによる内臓への負担。
これらが積み重なり、身体全体の回復力が低下していると考えられました。
特に肝の働きの低下が目立ち、筋肉や腱の柔軟性にも影響を及ぼしている状態でした。
東洋医学では肝は筋や腱を養うと考えます。
肝の働きが低下すると筋肉は硬くなりやすく、関節の動きも悪くなります。
腰痛や肩の動かしにくさ、肘の痛みも、単独の問題ではなく同じ背景から生じていると判断しました。
骨盤を整えると肘の痛みが軽減
治療ではまず骨盤周囲の緊張を緩和し、全身のバランスを整えることから始めました。
すると興味深いことに、右肘の痛みがその場で軽減しました。
患者様も
「肘を触っていないのに楽になった」
と驚かれていました。
身体は各部位が独立して存在しているわけではありません。
筋膜や経絡、筋肉の連動によって全身がつながっています。
そのため痛みが出ている場所と原因が存在する場所は必ずしも一致しません。
今回も肘だけを治療していたなら十分な改善は得られなかった可能性があります。
4回の治療で大きく改善
初回治療後から腰の動きが軽くなり、しゃがむ動作も徐々に改善しました。
2回目の治療では腰の痛みが大きく減少。
同時に肘の違和感もかなり軽減しました。
さらに右肩の可動域も改善し、腕が上がりやすくなりました。
4回目の治療終了時には腰痛はほぼ消失。
しゃがむ動作も問題なく行えるようになり、肘や肩の症状もほとんど気にならない状態となりました。
その後は予定通りゴルフへ参加され、
「何の心配もなくプレーできた」
との嬉しい報告をいただいています。
痛みは身体全体からのメッセージ
腰が痛いから腰だけを診る。
肩が上がらないから肩だけを治療する。
現代ではそのような考え方が一般的かもしれません。
しかし実際には、疲労の蓄積や内臓への負担、身体全体のバランスの乱れが症状の背景に隠れていることは少なくありません。
今回の症例も、腰痛だけを追いかけていては肘や肩の問題との関連は見えてこなかったでしょう。
東洋医学では、症状そのものではなく、その症状を生み出している身体全体の状態を診ていきます。
長引く腰痛や肩の痛み、繰り返す不調でお悩みの方は、一度身体全体の状態を見直してみることも大切かもしれません。




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