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芒種を迎えて

  • 6月7日
  • 読了時間: 4分


芒種 梅雨と長夏の養生 東洋医学の和鍼治療院
芒種 梅雨と長夏の養生 東洋医学の和鍼治療院

梅雨と長夏の養生

6月5日から二十四節気の「芒種(ぼうしゅ)」を迎えます。

麦の収穫を終えると、休む間もなく田植えの準備が始まります。農家にとっては一年の中でも特に忙しい季節です。

先日、日本列島に影響を及ぼした台風6号が通過し、現在は梅雨前線がやや南へ下がっています。数日間は涼しい風を感じられるかもしれませんが、この穏やかさは長く続かないでしょう。気象予報では6月に入り本格的な梅雨の時期を迎え、雨の日が増え、湿度の高い蒸し暑い日が続くと予想されています。特に6月後半に向けては湿気を含んだ空気が流れ込みやすく、大雨や局地的な豪雨にも注意が必要とされています。

そもそも芒種とは、稲や麦など穂をつける植物の種を蒔く頃を意味します。

「芒(のぎ)」とは、稲穂や麦穂の先に見られる針のように尖った部分のことです。この芒を持つ穀物の種を蒔く季節であることから芒種と呼ばれるようになりました。

現代では機械化が進み、田植えの時期も地域によって異なりますが、古来の人々は自然の変化を観察しながら農作業を進めてきました。二十四節気とは、単なる暦ではなく、自然と人間が調和して生きるための知恵だったのです。

畑に出ると、その変化はよくわかります。

春先に蒔いた作物は大きく育ち、雑草も勢いを増しています。雨が降るたびに土は潤い、作物も草も一斉に成長します。まさに生命力が満ち溢れる季節です。

しかし、この豊かな成長を支えている「水」は、時として人の身体には負担となります。

東洋医学では、この時期を「長夏(ちょうか)」と呼びます。

長夏とは、春から夏へ移行する期間だけでなく、梅雨を中心とした湿気の多い季節を意味します。そして長夏に最も影響を受けるのが「脾」です。

脾とは現代医学の脾臓だけを指すものではなく、消化吸収や水分代謝を司る働き全体を意味しています。

湿気が多くなると脾の働きは弱りやすくなります。

すると体内の余分な水分を処理できなくなり、

・身体が重だるい

・朝起きても疲れが抜けない

・頭が重い

・めまいがする

・足がむくむ

・食欲が落ちる

・胃がもたれる

・下痢をしやすい

といった症状が現れます。

さらに湿邪は筋肉や関節にも影響します。

毎年この時期になると、

「膝が痛くなる」

「腰が重い」

「肩が上がりにくい」

「古傷がうずく」

といった訴えが増えてきます。

また、自律神経にも負担がかかりやすく、

頭痛

不眠

倦怠感

気分の落ち込み

動悸

などの症状として現れることも少なくありません。

特に近年は気温差が大きくなっています。

台風が過ぎた後に涼しくなったと思えば、数日後には蒸し暑くなる。この急激な変化に身体がついていけず、不調を訴える方が増えています。夏はまだ先と思っていても、身体はすでに夏への適応を始めているのです。

長夏の養生で大切なのは、まず胃腸を守ることです。

冷たい飲み物やアイスクリームの摂り過ぎを避け、温かい汁物や発酵食品を適度に取り入れること。食べ過ぎや飲み過ぎを控え、腹八分目を心掛けること。

また、湿気によって気の巡りも滞りやすくなりますので、軽い散歩や体操で汗をかくことも重要です。

特別な健康法よりも、規則正しい生活を続けることが最大の養生と言えるでしょう。

そして毎年感じることですが、症状が強くなってから来院される方と、違和感の段階で来院される方では改善までの期間に大きな差があります。

湿邪による不調は、最初は「なんとなく調子が悪い」という程度です。しかし、その状態を放置すると慢性的な腰痛や膝痛、自律神経の乱れへと発展していくことがあります。

農作物も病気になってから対処するより、土づくりや管理を整えておく方が健やかに育ちます。人の身体も同じです。

芒種は種を蒔く季節です。

田畑に種を蒔くように、自分自身の健康の種を蒔く時期でもあります。

本格的な梅雨と夏を迎える前に身体を整えておくことが、これから訪れる暑い季節を元気に乗り切る第一歩となるでしょう。

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