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西洋医学の特徴

健康と病

西洋医学による診断や治療は、「対処療法の内容」に現れていると言えます。

 

例えば、風邪をひいたら風邪薬、血圧が高ければ血圧を下げる薬、糖尿病なら血糖値を下げる薬という具合に、病名に対して対応する薬が用意されますが、みなさんにとってごくごく普通の処方の仕方であり、何ら疑問を抱くこともないと思います。

病名に応じてどの薬をどれだけ出すのかは、ガイドラインとして決められており、医師はそれに従ってマニュアル通りに薬を処方していることになります。

一方で、東洋医学の診断で風邪薬を処方する場合、風邪薬として使われる薬は一つではなく、百種類以上に及びます。

実のところ風邪というのは、外部から侵入する邪気(ウイルスや菌など)や、それに罹患する人の体質や健康状態によって、病が出る部位や症状が異なります。

悪寒、発熱、関節痛、頭痛、咽喉炎、気管支炎、肺炎、下痢、便秘、鼻水、咳、膀胱炎、吐き気、食欲不振、耳鳴り、めまいなど風邪の症状を上げるだけでもこれほど多種多様です。

どれか一つの症状だけを発症することは少なく、いくつかの症状を兼ねていることが風邪症状の特徴といえます。

東洋医学の診断は、風邪に侵されている状態を大きく6種類に分類し、邪気の所在と発症している状態に応じて、生薬の種類とその量の配合を細かく変動させて対応します。

つまり固定的な風邪薬は存在しないということなのです。

「葛根湯」を風邪薬の代表として使用されることや、風邪のひきはじめに使用されることを巷でよく耳にしますが、それらは本来の生薬の用い方ではありません。

このような生薬の用い方をするようになったのは、西洋医学の考え方を東洋医学に無理に当てはめたからではないでしょうか。

西洋医学には、「AにはBという答え」が固定的にあらかじめ用意されていて、「Aという病名を導くために診断がある」と言えます。

 

それに対して、東洋医学はこのような固定的な診断はなく、同じ症状であっても個人の身体の状態や病の性質によって診断が変動することも珍しくありません。

東洋医学が個人によって細かく対応するオーダーメイドと呼ばれるのは、診断の際に「病」だけを診るのではなく、罹患している人の体質と健康状態を慎重にきめ細やかに診断する叡智、つまり「四診」と呼ばれる診断法と「弁証論治」があるからなのです。

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