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お母さんは「まぶい」 前編

小島 秀輝

和鍼治療院の施術について紹介いたします。

テーマは「美容」

顔色がわるい、肌が荒れている、まぶたがむくむ、口元の歪み、眼の下のクマがとれないなど、顔には様々な症状が出ます。

「顔はからだを映し出す鏡」とも言われるとおり、東洋医学の場合、眼や鼻、耳や口などの部位は体内にある内臓と関連があります。

例えば目は肝臓と、耳は腎臓、まぶたは消化器など、それぞれが五臓六腑と関連します。

なので、顔に出ている症状を診れば、おおよそ内臓のバランスを知ることができます。


今回、ご紹介するYさんは40代の女性です。

中学生の男の子のお母さんで、昨年、引っ越しをされました。

この時の引っ越しが肉体的に堪えたようで、その頃から疲れが取れにくくなり、何をしても疲れやすくなったように感じるそうです。

ある日、息子さんから顔色が優れていないことを指摘され、それからはご自身でも顔色をチェックするようになったそうです。

ここ数日は、まぶたの下にクマができて、顔色が優れないことに加えて、目の周りがむくむようになったことも気になっておられます。

顔色が優れない原因を知りたいのと、なんとか体調を改善したいとの希望で、和鍼治療院に来院されました。


初診で、顔色の気色が悪く、気血のバランスに問題があることがわかりました。

眼の下にはクマがあり、消化器のトラブルがあることも想像できます。

問診で、いつ頃から顔色や目の下のクマが気になるようになったか、聞くことで、引っ越しの準備をするようになったころから、身体に疲れが残るようになったこともわかりました。

消化器のバランスを整えること、疲れやすくなった身体を回復することを目標に、治療を始めました。

初診時の治療後から顔色が良くなったので、順調に回復が進む予感がありました。

予想通り、3回目の治療後から目の下のクマは消失し、顔色にも気色が戻るようになりました。

初診時、足裏全体が冷たかったのですが、顔色の気色が良くなるのと比例して冷えの範囲が少なくなり、足の指先以外は温かくなっていました。

ところが顔色が良くなるにつれて、腰痛が新たに出現し、腰部の深部に違和感が出るようになります。

これは現在の身体状態を現わす貴重な症状であることがすぐにわかりました。

引っ越しの準備や引っ越し後の整理で大変だったころに、腰に違和感があったそうです。

治療において、身体の回復過程は「来た道を帰るようなもの」と言われることがあります。

身体の不調をそのままに放置しておくと、症状が変化して、古い症状が消失し、新しい症状に移ることがあります。

こういった場合、治療を始めると新たに出た症状から良くなって、古い症状が再発してくることがあります。

Yさんの場合もこれに相当すると思われました。

顔色が良くなっているので、再確認するようになった腰痛の完治と、足裏が完全に温まることを目標に治療を継続しました。

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