三焦 孤の腑と呼ばれて


2022年の梅雨入りは、関西では6月14日でした。

これからも湿度が高く、ジメジメと蒸し暑い不快な日が続きます。

私たちの生活には不快でも、自然界にとっては水を貯えるために大切な雨季であり、稲作には欠かせない気候です。


自然界にも水を貯える働きがあるように、私たちの身体にも水分を貯え、体の働きを円滑にする働きがあります。

体質的に水をため込みやすい人は、梅雨の時期は体調を崩しやすくなります。

頭重感、めまい、関節痛、むくみ、胃腸障害など水の病はさまざまです。

水の代謝は円滑であることが重要で、水が多すぎても不足しても健康を害する要因になります。

このような水の代謝に関係するのが、「三焦」という腑になります。


古典の「素問」霊蘭秘典論に、「三焦は決瀆の官、水道これより出ず」とあります。

決には堤防を破って水を流し出す、瀆には溝のほか、汚す、けがすという意味があります。

このことから、体内の水液の流れと排泄器官をコントロールしながら、自らも水液の流通と排泄の通路となっていることになります。

古典の「類経」には、「最大のもので、諸臓に匹敵する者なし。故にこれを名付けて孤の腑という」とあります。

この意味は、臓腑の中でも最大の大きさを誇り、他の臓腑と異なる役割を担う唯一無二の腑であるということです。

かつて、王が自らを称すときは、「孤」と言ったそうです。

身体の隅々まであまねく広がっている器官なのです。


現代医学の視点で考えると、「三焦」は全身に行きわたっている組織間隙と細胞間隙と同じようなものであることになります。

最近、筋膜が注目されていますが、これも三焦の一部と言っても良いでしょう。

筋繊維が増大することで、体内に貯える水分量が増量することがわかっており、熱中対策に筋肉トレーニングが重要であることもわかっています。

話が少しそれましたが、組織間隙と細胞間隙は、細胞外液が循行する通路となっています。

この通路には、酸素、栄養物質、酵素、水、ミネラル、ホルモンなどが供給されます。

また、代謝によって産生された不要物が、この間隙を通じて排泄器官へと運ばれます。


このような水液の流通に関係する臓腑には、肺、腎、膀胱などがあり、全身の皮膚や他の細胞と密接に関係する水路にあたることから「中瀆の腑」(古典の「霊枢」本輪編)とも呼ばれています。


つづく