- 小島 秀輝
小島学舎3回目 「生命現象をみる」
2023年2月19日 小島学舎 【 第三回 】を開催いたします。
奈良市のパワーオブフード店内にて、対面による座談会形式で行います。
ざっくばらんに対話したり、質問したりできる場を心掛けていますので、東洋医学に興味があるのに難しく感じている人にも気軽に参加していただけます。
店主である吉田さんの協賛により、東洋医学関連の講義ができることに感謝しております。
この度のテーマは、「生命現象をみる」です。
病を患うと、どうしても「病」ばかりをみてしまいます。
病をみることは間違いではありませんが、その一方で、病を治す力にも目を向ける必要があると考えています。
病を治す力は、私たちに生まれながらに与えられた能力であり、これらをみることが生命力を把握することができます。
治療の目的は病を治すことであっても、生命現象を理解できていなければ目標を見誤ることになり、その結果、選択する手段も間違うことになります。
自分の病に必要な治療方法を求めるのであれば、やはり生命現象を正しく知る必要があります。
人の生命現象をまるまる理解しようとする医学が「東洋医学」です。
いにしえの先人は、「気」という要素で生命活動を理解し、治療手段として活用する術を発見し、何世紀にもわたってそれらを発展させ、今日まで伝承してきました。
どれだけ多くの治療師が東洋医学を学び、実践してきたのでしょう。
また、その方たちの努力で、どれだけ多くの方が救われたのでしょうか。
この医学に携わることで、正しく東洋医学を実践することの責任を同時に感じるようになりました。
東洋医学は、生命の不思議な力を実感できる稀有な医学だと思います。
「温故知新」のことわざのとおり、古きを訪ねることで東洋医学の叡智を学ぶことができます。
医学としての原点は不変のまま、その内容がより良くなってきた歴史もあります。
そこに伝承医学としての真の実力を感じています。
第一回、第二回は、東洋医学の原点である「気」の思想、陰陽五行説の起源、その影響を受けた十干十二支を説明しました。
春秋戦国時代の諸子百家は、それぞれが「気」というもの考えました。
彼らの思想は優劣をつけるのではなく、優れたところを活用するという方法で受け継がれます。
陰陽五行説もそれらの一つであり、「気の思想」と相まって東洋医学が形成されました。
その魅力を伝えることで精一杯でしたが、気と陰陽五行に興味を持っていただき、知識を深めてもらえたとしたら幸いです。
第三回は、気と陰陽五行の考えを用いて、生命現象をみる方法を説明いたします。
東洋医学の診断方法である「 望・聞・問・切 」の四診の意味を考えます。
過去のがん治療の臨床経験を血液検査のデータと照合し、治療効果と実感した生命力の話をさせていただきます。
免疫力と病の関係を実際の臨床と比較することで、どのようにして回復という目標を達成したのかを振り返ります。
次に、熱力学の法則と東洋医学の共通点を確認し、生命現象の科学的な側面にふれてみたいと思います。
また、「心身一如」という東洋医学の考え方に触れ、「心の科学」と呼ばれる仏教における「病」の思想を考えてみたいと思います。
今回はボリュームが豊富で、時間内にすべてを消化できないかもしれませんが、第四回へとつながる話となります。
時間が足りずに話ができなかった部分は、次回にしっかり説明いたします。
第四回、五回も、東洋医学の魅力で満載となります。
生命力とそれを理解しようとした東洋医学の思想をいろんな角度から学んでいただきます。
参加者全員で、東洋医学の叡智を共有したいと思っています。
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