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小島 秀輝

霍乱の治療 【 鍼灸編&総論 】


仕事先での霍乱の発症だったので、精神的に大変でした。

それでも仕事に支障が出るリスクと生命の危機の両方を無事に克服できた経験は、とても自信になりました。

今回、食中毒の特効穴が私の身体には効果がありませんでした。

特効穴とは特定の疾患に効果を発揮するツボのことです。

一般の人にもわかりやすいこともあり、雑誌などでもよく取り上げられているのを見かけます。

治療が簡素化できるので、確かに便利かもしれませんが、本来の東洋医学の診断や治療とは異なります。

このことは、病気を診ることよりも、病態の変化を見て、身体の状態を診断することの重要性を学ぶきっかけになりました。

帰宅後、傷寒論を手にとって、自分の症状に似たものがないか、本の隅々まで調べました。

書籍の隅々まで目を通して、ようやく厥陰病の中に、私の苦しんだ症状に似た箇所を発見できたのです。

それが「弁霍乱病脈証并治」でした。

当時の私はまだまだ知識が乏しく、漢方薬と鍼灸の治療の考え方が同じものであることを理解できていませんでした。

傷寒論での治療方法は生薬で書かれているので、鍼灸治療へと変換する必要がありました。

生薬ひとつひとつの効能、処方の考え方など、診断以外に新たに学ぶことがたくさんあります。

それから、日本では、鍼灸師が漢方薬を使うことができないことも、学習意欲が上がらなかった理由です。

霍乱の治療をきっかけに、病気を診ることよりも、患者さんの病態の変化を診ることに意識が変わりました。

自ら招いた禍ですが、とっさに治療穴を選択できたことで、今までの努力が報われました喜びもありました。

足三里中脘のツボは、どちらも胃の腑と関係があります。

傷寒論に照らして考えると、二つのツボの効能は、乾姜と同じ役割があります。

心下に位置する胃の腑に働きかけることで、食あたりで傷ついた胃の働きを改善するとともに、胃のもう一つの役割である後天の気を高めることができたと思われます。

後天の気(消化によって身体に必要なエネルギーに変えること)を高めることができれば、続いて先天の気(生命活動を維持するための力)を高めることができます。

このことは、生命力を回復することができることを意味します。

治療からわずか6時間後に霍乱から復活できた理由は、後天の気と先天の気の関係にありました。

とっさに思いついた治療でしたが、結果的に、二つのツボにお灸をするだけで、附子炙甘草人参の役割も果たしたことになります。


漢方治療は内から、鍼灸治療は外からと言われます。

また、漢方治療は血を補い、鍼灸治療は気を補うとも言われます。

身体に働きかける方法に違いがありますが、病める人を診る目は同じです。

正確に病態を把握して、どのようにして回復へと導くのかと考えるところはどちらも同じです。

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