- 小島 秀輝
気の文化
最近は、「鍼灸治療」と言いましても、色々とあります。 鍼灸治療が東洋医学であった時代は、遠い昔のことのようです。 鍼灸は本来、ツボに使うものですが、筋肉や神経を意識して使う治療が増えています。 医学とはどのような理念に基づいて治療するかによって決まりますので、東洋医学の理念に基づいて鍼灸を使わないと東洋医学とは異なる治療方法となります。
鍼灸さえ使えば、東洋医学ということにはなりません。
東洋医学の特徴は、一つの生命をまるごと一つの生命体とし、すべてが関連し、バランスを保つ機能を保持していると考えています。
それは一つの受精卵から細胞分裂を繰り返し、様々な組織や器官を形成して産まれてくる生命体そのものと同じです。
バラバラの部品が集まって一つの生命を造るという発想とはまったく異なります。
さらに一つの生命体は、自然の一部でもあります。
生命体と自然との関係は、生命体と身体の組織との関係と同じで、相互に影響を受ける関係です。 このことをマクロコスモス、ミクロコスモスと呼んでいて、一つの生命共同体を意味します。 私たちの身体には、たくさんの組織があり、それらの部分を有機的に繋げているのが、「気」と呼んでいるものです。
気の働きによって、一つの生命体の活動が順調に行われ、健康を保つことができます。
逆に何らかの理由で気が乱れると、身体のバランスを保てなくなり、様々な症状が現れることになります。
これを病気と捉え、「気一元論」にもとづいて治療するのが東洋医学なのです。