- 和鍼 院長 小島秀輝
木を見る目
建造物を造る際に、木材をどのように使うのか。 現代の私たちは、「形や寸法」にこだわります。
しかし、そこに問題があるとしたら、どうでしょう。
薬師寺金堂の再建を任された宮大工棟梁、故・西岡常一さんの木の見方・考え方に、学ぶべきところがあります。
飛鳥建築・法隆寺の回廊には、連子格子があり、ここを歩く人をゆったりとさせる雰囲気があるそうです。 この格子には、二種類があり、ひとつは飛鳥のもの、もうひとつはその後に修理したものです。 後の時代のものは、規格品として全てを同じサイズでまっすぐにしてあり、表面をカンナで美しく仕上げ、間隔をぴったりと同じにしています。 一方、創建当事のものは、格子の木の形が一本ずつ異なり、太いものも、細いものがあり、四角もあれば、菱形もあります。 不揃いの材木になるのは、木を割って使ったからだそうです。 気にはそれぞれに特徴があり、一本一本が違った性格をしているため、その個性を活かすための技法なのです。
同じ形にすると無理が出て、全体のバランスを崩すことになるそうです。 そういえば、数年前にDIYで作った家具の木の扉があるのですが、使用した6枚の板が年月が経つと反りが出て、表面がすっかり凸凹になりました。 出来上がった時は平らでスッキリしていたものが、数年で歪みが生じてしまいます。
飛鳥の建築は、外の形にとらわれず、木の命をどうしたら有効に活かせるかを考えて造られていたということです。
一見すると荒っぽくて、雑に見えますが、実に良く考えられています。
このような技法を大切に残してほしいと思います。