参鶏湯
「 宮廷料理人 チャングムの誓い」で、病気になった時や、元気を出したい時に必ず出てくる料理と言えば、若鶏を長時間煮込んだ白いスープの料理です。
このスープは、韓国では非常にポピュラーで、誰からも愛されている料理だそうです。
昔は「若鳥白熟(ヨンゲベッスク)」と呼ばれていたそうですが、「人参」を入れるようになったことで、「参鶏湯(サムゲタン)」と呼ばれるようになりました。
朝鮮人参の効能と価値が知れわたるようになったことで、「参」の字を用いるようになりました。
特別な味付けや正確な分量を必要とする料理ではないので、誰もが手軽に作れるとのこと。
鶏の内臓をきれいに取り除いたのち、その中に棗、栗、もち米などを詰め込み、人参と一緒に煮込みます。
家庭によって少しずつ作り方が違うところもユニークで、具材もいろいろ選べることからバリエーションも豊富です。
食べ方は、鶏肉をさっぱりと塩をつけて食べて、そのあとに詰め込んだ栗やもち米を食べるようです。
韓国らしく、キムチがあれば他におかずはいらない食事となります。
私の知人のKさんは、本場の参鶏湯が大好きで、韓国までわざわざ食べに行くほど病みつきです。
Kさんは大変な「冷え性」の体質で、冬になると体調を崩しがちになる悩みをもっています。
数年前に友人と韓国へ旅行に行った際、韓国料理店で「参鶏湯」を食べたそうです。
その時、身体がとても温もり、元気が出てきて体調が良くなった経験があります。
Kさんは、それ以降、参鶏湯が大好きになりました。
Kさんのように「冷え性」でお悩みの人の中には、疲労しやすい体質や体力不足で悩んでおられる人が多数おられます。
韓国では「スタミナ料理」として愛されている「参鶏湯」ですから、Kさんが冷え性の改善に効果を感じられたことにもうなずけます。
「参鶏湯」がスタミナ料理として人気がある理由を見てみましょう。
鶏肉に詰め込む食材の一つである「棗(ナツメ)」は、中国では古くから老化防止に役立つことから珍重され、あの楊貴妃も好んで食していたそうです。
「一日食三棗、終生不顕老」という言葉が残っていて、健康維持に役立つ食材として注目されています。
「栗」は、日本人にも親しみがある食材です。
アーモンドなどと同じ種子のため、発芽するためのエネルギーを内包し、たくさんの栄養素を含む優れた食材です。
他のナッツ類と比べて脂質が少なく、でんぷんが多いのが特徴で、消化しやく、脾胃の働きを助ける効果も期待できます。
滋養強壮の効果があり、赤ちゃんの離乳食、病後や療養中で体力をつけたい人に適しています。
胃腸を温める作用があるので、胃腸が冷えやすく、すぐに下痢をする人に効果があります。
「人参」は朝鮮人参(高麗人参)のことで、疲労回復や整腸作用、血行促進などその効能は多岐にわたります。
中国では古くから珍重され、「漢方の王様」と称されるほどです。
これら食材を一つの鍋に入れて食すことで、最高の保養食となります。
ひとつひとつの食材の効果を見てみれば、古くからスタミナ料理として韓国で愛されてきた理由がよくわかります。
さらに、本場韓国では、この保養食を食べるのに最適な日を今も大切にしています。
「十干十二支」や「四気調神大論」と関係が深く、身体にもとても影響がある優れた叡智です。
次の「三伏の訓え」でご紹介します。