薬の添付文書
手の痛みの不安から市販の薬に手をだしてしまったTさんでしたが、薬の使用歴はかなりの年数になります。
20代でパーキンソン病、30代でリウマチ、40代で喘息と緑内障、50代からは高血圧といった具合に、薬の種類と量が増えていきました。
60代から鍼灸治療をはじめると、まずは喘息が治癒し、次にパーキンソン病とリウマチが改善し、その結果、緑内障以外の薬が自然に必要ではなくなっていきました。
いつの間にか、通院していた整形外科と内科にも通う必要がなくなり、通院は眼科だけとなりました。
以来、眼科で出る薬以外は使うことがなくなっていたのですが、最近、リウマチによる手指の痛みが再発したことに始まり、老化に伴う負担増が症状の悪化と回復力の低下となっていました。
仕事の量を減らすようにして負担の軽減を図っていたのですが、連日の掃除の手伝いで関節の炎症がひどくなったと思われます。
約10年間、薬を使用せずに生活できていたのですが、今回ばかりは薬の誘惑に負けたことになります。
薬局で購入した薬は、頭痛や生理痛で有名な薬です。
私は薬を全く使用しないので、この薬に関しては、小学生の頃、風邪をひいたときに飲んだかもしれないというぼやけた記憶しかなく、最近までコマーシャルでみる程度しか興味もありませんでした。
今回の件があったので、Tさんに起こった現象を解明しようと添付文書に目を通してみることにしました。
添付文書の構成内容は、禁忌、効能、使用上の注意、薬物動態、臨床成績などがあり、副作用や対象年齢については使用上の注意の項目の中に記載されています。
Tさんに当てはまるところを見てゆくと、「高齢者への投与」というところが最初に目につきました。
そこには、高齢者では腎機能、肝機能などの生理機能が低下しているため、副作用があらわれやすいことが明記されています。
少量から投与を開始して、経過をよく観察するように指示があります。
次に気になったのは、「重要な基本的注意」のところの慢性疾患(関節リウマチ、変形性関節症)に対して本剤を用いる場合のところです。
異常が認められた場合は休薬等の適切な措置を講ずること、薬物療法以外の療法も考慮すること、原因療法があればこれをおこなうことという記載があり、この薬物療法が対処療法であることをきちんと説明しています。
しかも長期投与を控えることや、もしも長期投与になる場合は、血液検査、尿検査、肝臓機能検査を行うように注意を促しています。
Tさんに当てはまるところを意識して探してみると、簡単にこれだけのことを見つけることができました。
小さな字で書かれていると読みにくいことや、たくさんのことが書いてあるので読むのが大変に思いがちです。
しかし取り扱い説明書をしっかり読むことで、本当に使用するべきどうか、健康について考える一歩になるのではないでしょうか。