冬至
- 小島 秀輝
- 2024年12月16日
- 読了時間: 3分

2024年12月21日、この日から15日間は二十四節気の「冬至」にあたります。
冬至には「カボチャを食べ、柚子湯に入る」という風習があります。
柚子には顕著な抗炎作用があり、消化を助け、酒毒を解き、腸や胃の気を去って、利尿の効果もあります。
果皮は乾燥すると、咳止め、消化、下気に用いて、花は停滞した気の巡りを良くし、痰を除き、痛みを鎮めます。
冬至は、一年で最も昼が短く、夜が長くなります。
関西では、日の出が7時1分、日の入が16時50分です。
夏場が19時でも明るいのに対して、ずいぶんと日が沈むのが早いように感じられます。
古代、冬至は一年の始まりを意味しました。
前漢の時代、哲学者劉安は著書「淮南子」で次のように述べています。
「夏の日至れば、すなわち陰は陽に乗る。
冬の日至れば、すなわち陽は陰に乗る。
昼は陽の分にして、夜は陰の分なり。
陽気勝れば、すなわち昼長く、夜短く、陰気勝れば、すなわち昼短くして夜長し、
冬至には陰気極まって陽気萌(きざ)し、夏至には陽気極まって陰気萌す」と。
一日の日照時間をもとに考えると、冬至は日照時間の最も少ない日で、昼が一年中で最も短く、夜が最も長いことになります。
陰気が極まって、これから新たに陽気が萌します。
つまり、太陽の力が最も衰微した冬至を境に、再び太陽が力を取り戻すことを意味します。
易では、この日を「復」とします。
陰から陽への転換を「一陽来復」として、冬至から春が始まると考えたわけです。
しかし、気温をもとに考えてみると、もっとも気温の下がる寒い日は立春となります。
冬至から日照時間は長くなりますが、「冬至冬なか冬はじめ」とあるように、冬至は冬の真ん中であり、この日から本格的な冬の季節になっていきます。
季節的にもっとも寒くなるのが立春で、その後に暖かい陽光を肌に感じられるようになることから、後漢の時代、「一陽来復」は立春となり、年初と定められることになりました。
中国ではそれ以後2000年近く、立春年初となっています。
日本では、明治6年の太陽暦改正まで、立春を年初としていました。
現在「旧暦」と言っている太陰太陽暦では、今でも年初は立春となっています。
立春年初の名残は稲作にあり、立春を基準に日を数える風習が今でも残っています。
夏が近づいて種蒔きの目安となるのが「八十八夜」
中稲(なかて)の開花期で、田の水を落とす「二百十日」
台風襲来の厄日とされるが「二百二十日」
現代の年始は1月1日の元旦ですが、かつては日照時間にもとづいて冬至でした。
太陽と穀物神の再生を祈る一年でもっとも重大な祭日だったのです。
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