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「魂」の話

健康と病

お酒の種類の中に、「スピリッツ」と分類されるものがあることをご存知でしょうか?

「spirit スピリット」の複数形が「spirits スピリッツ」であり、スピリットには、「魂」「生命力」「精神」などの意味があります。

 

お酒に詳しい方では、お酒なのにどうしてスピリッツと呼ばれるのか不思議に思ったことがありませんか?

実は、「蒸留酒」のことをスピリッツと呼ぶのですが、「酒精」の意味で使う風習から受け継がれているのです。


その起源は、ブランデーの誕生と関係があります。
大航海時代を経て、新大陸に植民地を求めてヨーロッパの各国が覇権を争っていた時代、オランダの酒造家たちが考えたことがあります。
それは、海のはるか向こうの大陸にある植民地へ、一度に大量のワインを届けることでした。
そこで考え出された製法が「蒸留酒」です。
ワインの容積を減らすために、ワインを蒸留し、濃縮したものを樽に詰めて送り、航海を終えたのちに植民地で水を加えて容積を増やすことを思いつきます。

ところが、樽の中身を味見した人たちが水を加えるようなことをしませんでした。
ワインとは風味の異なる新しい、強力なアルコール飲料が誕生したからです。

この製法は世界中に広がっていき、ウオッカ、テキーラ、ジン、ラムが世界4大スピリッツと呼ばれるようになります。

 

ブランデーができた際に、それを「ワインのスピリッツ」と呼んだのが始まりで、「ブランデーワイン」の短縮形がブランデーです。

そのブランデーは、「燃やしたワイン」「加熱したワイン」を意味するオランダ語からきています。
現在では、世界4大スピリッツから除外されていますが、「ワインのスピリッツ」と呼ばれたブランデーこそが「スピリッツ」の原点です。


人類は、ぶどうから果汁を集めて発酵させてアルコールにすることで人を酔わせる力を獲得しました。

古代ギリシャやローマでは、ビールよりもワインが愛飲されるようになり、「ワインは聖職者が飲む高級酒」とまで呼ばれたほどです。

さらにそのエッセンスを蒸留することで濃縮し、ブランデーとすることでワインを越える力を秘めた飲料へと変貌させることに成功します。
「酒精」とも言えるエッセンスをもつものが、スピリッツと呼ばれる由縁となります。

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