大暑の養生
- 7月24日
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【夏の極みに心を養う】
――黄帝内経「四気調神大論」に学ぶ、大暑の智慧
今は二十四節気の「大暑(たいしょ)」。2025年は7月22日から8月6日頃までがその期間にあたります。まさに一年で最も暑さが厳しくなる時期であり、太陽の陽気が極まり、熱が地を焦がすような日々が続きます。蝉の声は大地の響き、強い日差しとともに、夏の生命力が最高潮に達するときです。
この時季の養生を、東洋医学ではどう捉えているのでしょうか。その答えは、古代中国の医学経典『黄帝内経・素問』第二篇「四気調神大論」に記されています。そこには、夏の過ごし方について、次のように説かれています。
「夏三月、此謂蕃秀。天地気交、万物華実。夜臥早起、無厭於日。使志無怒、使華英成秀、使気得泄、若所愛在外。」
――「夏の三ヶ月は、万物が盛んに繁茂する季節である。天地の陽気が交わり、草木は花を咲かせ、実を結ぶ。夜はやや遅く、朝は早く起き、太陽の光を嫌がらず、怒らずに心を穏やかに保つ。気を外に発散させるようにし、まるで心が外にあるかのように生きるべきである。」
これは単なる生活の知恵ではなく、自然界の陽気と調和して生きるための根本的な原則です。
ところが現代人の多くは、エアコンで体を冷やし、冷たい飲食物で胃腸を傷め、外に出ることを避けて室内にこもりがち。夏こそ“気を発散すべき”季節なのに、かえって内へ閉じこもるような暮らしを送ってしまいがちです。
このアンバランスが続くと、秋に気が収まりにくくなり、免疫力の低下や不眠、疲労感などの不調として現れるのです。
また、「使志無怒(こころ、いからしむるなかれ)」とあるように、夏は特に感情が乱れやすい季節でもあります。陽気が昂ぶるにつれ、怒りや焦りといった感情が表に出やすくなります。そうした時こそ、自然の中で深呼吸をしたり、信頼できる人と語らったりして**“心気”の発散と調整**を心がけましょう。
和鍼治療院では、こうした季節のリズムに合わせて、夏には「心」と「小腸」を中心に整える施術を行っています。東洋医学では、心は火に属し、夏ともっとも関係が深い臓腑とされます。心火が過剰になると、動悸・イライラ・多汗・不眠といった症状が現れやすくなるのです。
当院では、経絡の流れや脈診、舌診などから身体の“内なる熱”や“巡りの滞り”を見極め、必要な経絡を整えることで、心身の調和を取り戻していきます。特にこの時期、「汗のかきすぎ」や「汗をかけない」といった状態は、気血の偏りや自律神経の乱れのサインでもあります。
夏は本来、もっとも活動的で快活に過ごせる季節。しかし熱が体内にこもれば、だるさや食欲不振、気分の落ち込みなど、さまざまな形で不調が現れます。**自然と響き合いながら「陽気」をうまく使うこと――それこそが夏の“真の養生”**なのです。
大暑の今こそ、自分の身体と向き合い、季節に応じた調整を始めてみませんか?四季の養生を重んじる和鍼治療院が、あなたの“夏のバランス”を整えるお手伝いをいたします。




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