秋分
- 9月21日
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秋の深まりと実り、体調の変化に寄り添う時節
秋分は、二十四節気の十五番目にあたり、昼と夜の長さがほぼ等しくなる日を示します。2025年は9月23日頃から次の節気「寒露」の前日までが秋分の期間です。太陽は真東から昇り真西に沈むため、陰陽のバランスが自然界で明確に現れる時節といえます。昼の陽気はまだ残るものの、夜は涼しさが増し、夏の盛りから秋への移ろいが体感できます。
庭先や田畑では稲穂が黄金色に輝き、果樹や野菜も実りの最盛期を迎えます。東洋医学では、この時期の自然の変化は「金」の五行に対応し、肺と大腸の働きが影響を受けやすくなります。肺は呼吸だけでなく、体内の水分調整や皮膚の潤いにも関わるため、乾燥が進む秋には喉の痛みや軽い咳、肌荒れなどが現れやすく、秋の花粉症も症状が出やすい時期です。
10月に控える干支は「丙戌(ひのえいぬ)」です。「丙」は陽の火、「戌」は土に火の性質を含み、自然界では残暑がまだ続きつつも、季節の移ろいが始まることを示します。この丙戌は「土用」の時期に当たり、秋から冬への移行を意味します。土用は立春・立夏・立秋・立冬の前の約18日間で、季節の変わり目に体や自然が次の季節に備えて調整を始める時期です。秋の土用では、胃腸や消化機能に負担がかかりやすく、疲れやすさや体調の変化が出やすくなります。土用の後、次の干支は「亥(い)」で、その蔵干は癸・乙・己となり、冬の陰気が徐々に強まることを示します。易学的には、秋分から土用を経て亥の季節に移るこの流れこそ、秋の深まりと冬の準備を意味します。
養生の基本は、肺と大腸の働きを助け、体内の潤いを保つことです。梨、白きくらげ、蓮根、豆腐などの白い食材は肺を潤し、乾燥から体を守ります。朝夕の気温差に応じて衣服を調整し、冷えや乾燥から身を守ることも大切です。軽い散歩や深呼吸で肺の働きを促すと、気血の巡りが整い、倦怠感や夏の疲れを和らげる助けになります。
心理面でも、陰陽の変化に合わせて内省や心の調整を行うことが推奨されます。日照時間の変化で気分が沈みやすい場合は、朝日を浴びる、規則正しい生活を意識することが効果的です。自然界の実りを眺め、秋の花や虫の声に耳を傾けながら、心身を落ち着かせる時間を持つことも、秋分の養生の一環です。
秋分は、自然界と自分自身のバランスを見つめ直す絶好の節目です。残暑が続く年でも、食・運動・呼吸・生活リズムを意識し、秋の実りを楽しみながら心身の調和を整えることで、秋の土用・亥の季節に向けた健康の土台を作ることができます。




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