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パーキンソン病 【後編】

  • 7月2日
  • 読了時間: 3分

更新日:9月15日

パーキンソン病 Yさん 後編
パーキンソン病 Yさん 後編

「薬では得られなかった軽さ」

──鍼灸がYさんの歩みに与えた変化

Yさんが当院に再び訪れた理由は、薬の効果だけでは感じられない**「本当の身体の軽さ」**を取り戻したいという強い想いがあったからに違いありません。初めての鍼灸治療から数回が過ぎた頃、Yさんはこう語りました。

「最初の治療で、身体が軽くなった気がしました。でも、日々の生活ではなかなかすぐに変わらないものだろうと思っていました。けれど、2回目、3回目の治療を受けるたびに、身体の動きが少しずつスムーズになり、歩きやすくなってきました。」

その言葉通り、治療が進むにつれてYさんの身体は徐々に変化し始めました。左足の運びが改善し、歩行時の引っ掛かりが減少。特に歩行後の疲労感の軽減が顕著で、「翌日になっても身体が重たく感じない」「朝から活動的に動ける」と喜ばれていました。これまでの薬では感じられなかった感覚です。

さらに、鍼灸によって肩や背中のこわばりが緩み、手のひらや指先の感覚も戻り始めたとお話しされました。薬による一時的な解放感と違い、東洋医学のアプローチは**身体の「本来の調和」**を取り戻すことに繋がったのです。

しかし、ここで大切な点は、治療の効果が短期的に現れるものの、日常生活の養生が根本的な改善には欠かせないということです。Yさんのように仕事の都合や生活リズムが不規則な方にとって、深夜2時の就寝時間が続く中での鍼灸治療は一時的な改善をもたらすものの、長期的には生活習慣の見直しが必要です。

薬と東洋医学のバランス

Yさんが薬を服用する際に感じた「興奮剤のような作用」は、実際にドパミンを補充することで身体が動きやすくなる一方で、その効果が切れたときには反動が大きいことを意味します。薬はあくまで**「一時的な補助」としての役割に過ぎません。それに対して、鍼灸は身体そのものの力を引き出し、自然治癒力を高める**アプローチです。自

薬と鍼灸、それぞれが担う役割を理解し、両者をバランスよく取り入れていくことが重要だと考えています。西洋医学の薬に頼り切ることなく、東洋医学で身体を整え、心身の調和を保つことが、最も健康的なアプローチと言えるでしょう。

養生と生活習慣の見直し

Yさんのような患者さんには、治療の効果を最大限に引き出すために、生活習慣の見直しと養生法の指導が欠かせません。深夜2時の就寝時間を改善し、なるべくゴールデンタイムと呼ばれる夜の休息時間を確保することが肝要です。また、食事内容も気をつけるべきポイントで、腎虚を補い、気血を巡らせる食材(黒ごまや山芋、くるみなど)を取り入れることが推奨されます。

東洋医学では、「養生」とは日々の心がけと実践によって、病気の予防や治療を助けるものと考えています。これこそが、薬や鍼灸の治療を補完し、患者さんの回復を加速させる鍵となります。

今後の希望

治療を続ける中で、Yさんは少しずつではありますが、パーキンソン病の進行を遅らせることができているという実感を持たれています。最初は「薬なしでは生活できないのでは?」と不安に感じていたYさんですが、現在では薬に頼る時間が減り、体の動きに自信が持てるようになったとのこと。これはまさに、東洋医学が与える力の証です。

今後も定期的な鍼灸治療を通して、身体のバランスを維持し、日常生活に取り入れる養生法を実践し続けることで、Yさんの生活の質はさらに向上していくでしょう。

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