大暑の体、不調のサインは自然からの声
- 7月30日
- 読了時間: 3分

〜季節のリズムに学ぶ、からだの整え方〜
大暑を迎え、和鍼治療院に来られる方の体調に、ある共通した変化が見え始めました。
それは、単なる「暑さ」では説明しきれない不調。頭が重く、目が乾き、胸がつかえ、眠りが浅い。ある方は「便通が滞っている」、またある方は「息が吸いにくい」と口にされます。皮膚炎をお持ちの方は、肌の赤みやかゆみが再発。月経痛や前立腺の違和感なども、季節に応じた“からだの声”として表れているのです。
こうした変化は、偶然ではありません。むしろ、二十四節気という暦が示すとおり、「自然の巡りと身体の反応は呼応している」ということの証です。
私たちは、都市の暮らしのなかで「季節の気」を感じにくくなりました。けれど、大暑という節目を境に、陽気が極まり、地面と体内に熱がこもる。空気の動きが止まり、風が流れなくなると、汗も引かず、熱は頭や胸に溜まっていく――東洋医学ではこうした流れを「気逆」や「内熱」としてとらえます。
今の時期、もっとも大切なのは、自然の変化に自分の体を重ねて感じること。古の医家たちは、肌の色、声の張り、眼の輝き、歩き方にいたるまで、五感を研ぎ澄ませて“からだから出るサイン”を読み取っていました。これは「望診」と呼ばれ、脈や舌を診る以前に、すでに答えが現れているとされていました。
目がうるんでいるか、乾いているか。肌に光沢があるか、くすんでいるか。声に力があるか、途切れていないか。それらは、すべて自然との対話なのです。
大暑の頃は、「気」が上に昇り、熱が頭にこもりやすくなります。顔が火照る、目が赤い、頭がのぼせる、胸がつまる――このような症状は、まさに夏の気配が体に映り込んでいる状態。夜もまた、陰が足りず、眠りが浅くなります。
もし、今の自分の状態に、少しでも違和感を感じているなら――それは体の奥から出ている、“自然からの声”です。
和鍼治療院では、この季節に起こりやすい「内なる熱」「気の停滞」「陰の消耗」を見極め、古典に基づいた鍼灸施術で、身体を本来のリズムへと整えます。
治療の中心には、五臓六腑の関係性と、気血水の調和があります。たとえば、頭や目に熱がこもる場合は、督脈や太陽膀胱経のルートを通じて上半身から熱を散じ、心と腎のバランスを回復させます。胸のつまりには、心包経や膻中(だんちゅう)を用いて、気を開放。さらに、陰分(潤い)を養うために、脾と腎を温め、心火を鎮めるような配穴で全体のバランスをはかります。
自然が教えてくれることは、決して特別なことではありません。けれど、耳をすまさなければ気づけない。古人のように、自然を五感でとらえ、体の中に宿る“気”の変化を受け止める。その視点を、今こそ取り戻すときかもしれません。
大暑を越えるこの時期、あなたの身体はきっと、何かを訴えています。その声に、耳を傾けてみませんか?
和鍼治療院は、大阪本町の静かな空間で、あなたの“気のゆらぎ”を丁寧に整えます。




コメント