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レトロウイルス

  • 1月24日
  • 読了時間: 3分
東洋医学の和鍼治療院
東洋医学の和鍼治療院

🌿我々の中に生き続ける“外界からの贈り物"

私たち人間の体は、数えきれないほどの遺伝子情報によって形づくられています。その中で「タンパク質の設計図」を直接担う部分は、わずか 1.5% にすぎません。では、残りのDNAは何をしているのでしょうか?最新の研究によれば、その大部分が 外部からやってきたウイルスの痕跡であることがわかってきました。

特に「レトロウイルス」と呼ばれる種類は、他のウイルスとは大きく異なる特徴を持っています。通常、遺伝情報は「DNA → RNA → タンパク質」という流れで働きますが、レトロウイルスは逆に「RNA → DNA」へと変換し、そのDNAを私たちの染色体の中に組み込んでしまうのです。この仕組みを担うのが「逆転写酵素」と「インテグラーゼ」という特殊な酵素です。

一度組み込まれたウイルスDNAは「プロウイルス」と呼ばれ、私たちの細胞の一部として潜伏し続けます。エイズの原因である HIV や、日本でも見られる HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス) がその代表です。これらは病を引き起こす存在として知られていますが、実は人類の進化にとって欠かせない役割を果たした側面もあります。

例えば、私たち哺乳類にとって不可欠な「胎盤」は、古代のレトロウイルスが持っていた膜融合タンパク質(シンシチン)が利用された結果、生まれた仕組みです。つまり、かつては外敵であったウイルスが、生命の誕生に必要な機能へと転化したのです。

ここに大きな示唆があります。ウイルスは単なる「病原体」ではなく、私たちの遺伝子に深く刻まれ、人類の進化を推し進めてきた共生者でもあるということです。人間のDNAの約8〜10%は古代レトロウイルスに由来し、関連する転写因子や可動性遺伝子まで含めると 30〜40%近くが外来ウイルスの痕跡といわれています。

この事実を、東洋医学の視点から見直すとどうでしょうか。中医学では、外界からの「邪(じゃ)」が体に侵入すると病をもたらすと考えます。しかし、邪は必ずしも敵ではありません。時に体を鍛え、正気を強める試練となり、また深く入り込んだものは「伏邪」として長く共存します。まさにレトロウイルスの姿そのものです。

さらに、胎盤の例のように「外邪」が正気と融合して新たな命の基盤となる現象は、陰陽転化の象徴といえるでしょう。陰が極まれば陽となり、陽が極まれば陰に転ずるように、かつての脅威が生命の味方に転じる。これこそ自然界の大いなる知恵です。

現代医学は、HIVに対して逆転写酵素阻害薬やインテグラーゼ阻害薬を用い、ウイルスの組み込みを防ぐ治療を行っています。一方で、私たちの体には、すでに数千万年前から「外来の遺伝子」が深く根づき、命の一部となっています。

つまり、私たちは純粋な存在ではなく、常に外界との交流の中でハイブリッド化され続けてきた存在なのです。風邪にかかって免疫力を鍛えるのも、同じ道理です。外からの刺激を拒むのではなく、どう受け入れ、どう調和させるか。その在り方こそが、私たちの健康を左右します。

レトロウイルスの存在を知ることは、病の恐怖だけではなく、「外界との対話の歴史」を理解することでもあります。そしてその視点は、現代を生きる私たちの養生にも、大切なヒントを与えてくれるのです。

🖋️ 和鍼治療院では、このように「外界との調和」を大切にした養生と鍼灸を実践しています。風邪や季節の変わり目の体調不良、免疫力の低下を感じておられる方は、ぜひご相談ください。

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