ラグビーFW選手の治療
- 6月5日
- 読了時間: 4分

肩の痛みの原因は肩だけではなかった
今回ご紹介するのは、大学ラグビーで活躍するFW(フォワード)のKさんの症例です。
Kさんは試合前日のコンディショニング調整のため来院されました。
ラグビーのFWはスクラムを最前線で組むポジションです。100kgを超える選手同士が激しくぶつかり合い、身体には想像以上の負担がかかります。
来院時の主な訴えは次の3つでした。
右足首の捻挫後の腫れと違和感
頸椎ヘルニア後の首の違和感
右肩の肩鎖関節の痛みと挙上制限
まず足首ですが、最近の試合で捻挫を負い、何とか翌日の試合には出場できる状態まで回復していました。しかし、腫れと違和感が残り、踏み込みに不安を感じていました。
また春頃には医療機関で頸椎ヘルニアと診断され、左手にしびれが出現していました。その際に鍼灸治療を行い、しびれは消失。その後は順調に経過していましたが、最近の練習で首に軽い違和感を感じ始めていました。
さらに右肩の肩鎖関節を痛めており、腕を上げる際の痛みや動かしにくさも抱えていました。
試合を翌日に控えた状況であり、私自身も大きな責任とプレッシャーを感じながらの施術となりました。
診察を進めると、まず目についたのは腰部の強い疲労です。
スクラムでは全身の力を下半身から体幹へ伝え続けます。そのため腰や骨盤周囲には大きな負荷が蓄積します。
実際に身体を確認すると、骨盤周囲や股関節の動きが低下し、腰部には多数の反応点が現れていました。
まずは全身のバランスを整え、股関節や骨盤の調整を行いながら疲労回復を促す治療を実施しました。
すると最初に変化が現れたのが足首でした。
筋肉や関節のバランスを整えると、来院時に目立っていた足首の腫れが短時間で大きく軽減しました。Kさん自身も「こんなに変わるんですか」と驚かれていました。
さらに首と肩について詳しく確認すると、局所だけでなく腰部との関連を示す反応が数多く見られました。
東洋医学では、症状が出ている場所だけでなく、身体全体のつながりを重視します。
肩が痛いから肩だけを治療する。
首が悪いから首だけを治療する。
そのような考え方ではなく、身体全体のバランスの中で症状を捉えていきます。
そこで腰部を中心に、一つひとつ反応を確認しながら丁寧に施術を進めていきました。
すると肩鎖関節の痛みが徐々に軽減し、施術後には腕の挙上動作が明らかにスムーズになりました。
本人も痛みの消失を実感し、肩を何度も動かしながら状態を確認していました。
今回の症例は、「痛みのある場所が原因とは限らない」ということを改めて教えてくれました。
肩の症状であっても腰や骨盤の状態が関係し、首の違和感にも全身の疲労が影響していることがあります。
特にラグビーのようなコンタクトスポーツでは、局所の治療だけでは十分な結果が得られないことも少なくありません。
試合前のコンディショニングでは、症状そのものを追いかけるだけでなく、身体全体の連動性や疲労の蓄積を見極めることが重要です。
翌日の試合は、私も気になっていたためYouTubeで観戦しました。
試合前日の施術であったため、実際にどの程度パフォーマンスへつながるのかは私自身も気になっていましたが、Kさんはスクラムでも力強く相手と組み合い、ボールキャリーでも積極的に前進していました。
もちろん試合中の状態を直接確認したわけではありませんが、画面越しに見てもコンディションは良好で、自分の役割をしっかり果たしているように感じられました。
ラグビーでは、一試合ごとに身体へ大きな負担が蓄積していきます。特にFWの選手は、スクラムやコンタクトプレーによる衝撃を何度も受け続けるため、知らず知らずのうちに疲労が蓄積していきます。
痛みが出てから治療を受けることも大切ですが、より重要なのは、良い状態を維持しながらプレーを続けることです。
そのためKさんには、試合や練習による疲労を早めに取り除き、故障を未然に防ぐためにも、定期的なコンディショニング調整を勧めています。
身体は故障してから整えるよりも、故障しにくい状態を維持する方が、競技人生を長く充実したものにしてくれます。
東洋医学には、病気や怪我を治すだけでなく、未然に防ぐ「治未病」という考え方があります。
スポーツの世界においても、この考え方は非常に重要です。
身体が発している小さなサインを見逃さず、その都度整えていくことが、結果として最高のパフォーマンスにつながります。
今後も長いシーズンが続きますが、Kさんが持てる力を十分に発揮し、怪我なく活躍されることを願っています。
和鍼治療院では、痛みの改善だけでなく、スポーツ選手のコンディショニングやパフォーマンス維持にも力を入れています。
身体の不調や違和感を抱えながらプレーされている方は、お気軽にご相談ください。スポーツに打ち込む皆さまを東洋医学の視点からサポートいたします。


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