東洋医学の特徴 ⑥
- 9 時間前
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診断が変わると、治療が変わる
──五十肩にみる、経穴選択の裏側
「五十肩には、このツボ」そのような説明を聞いたことがある方も多いかもしれません。
確かに、五十肩によく使われる経穴は存在します。しかし和鍼治療院では、症状名だけで経穴を決めることはありません。
なぜなら、診断が変われば、治療の組み立てはまったく変わるからです。
同じ五十肩でも、身体の状態は一人ひとり違う
五十肩と一言で言っても、
夜間痛が強い方
動かすと鋭く痛む方
重だるさが続く方
可動域は狭いが痛みは少ない方
その現れ方はさまざまです。
さらに診ていくと、
腰の動きが悪い
背骨の柔軟性が失われている
胃腸が弱っている
疲れが抜けにくい
といった、肩とは直接関係なさそうな要素が深く関わっていることが少なくありません。
ここで重要になるのが、弁証です。
弁証とは「どこが悪いか」ではなく「何が起きているか」を整理すること
和鍼治療院では、五十肩だから「肩周囲炎」と決めつけることはしません。
今この方の身体で、
何が不足しているのか
どこに負担が集中しているのか
回復力は十分に働いているのか
こうした点を、象(身体に現れたサイン)をもとに整理します。
その結果、
肩の問題が「結果」であり
本当の原因が、腰・脊柱・内臓にある
と判断されることも多くあります。
この弁証の違いが、経穴選択を大きく変えます。
なぜ、肩が痛いのに肩に鍼をしないのか
和鍼治療院では、五十肩の治療であっても、
肩にほとんど鍼をしない
あるいは全く触れない
ということがあります。
それは、肩の緊張が「原因」ではなく**身体全体の歪みや内側の疲れの“表れ”**と判断されるからです。
例えば、
腰の不安定さが肩に負担をかけている場合
内臓の疲れが背中や肩の硬さとして出ている場合
このようなとき、肩だけを緩めても、すぐに元に戻ってしまいます。
弁証に基づいて、
身体の軸を整える経穴
内臓の働きを支える経穴
全身の巡りを調える経穴
を選ぶことで、結果として肩の動きが自然に改善していくのです。
経穴は「効かせる場所」ではなく「整えるための要所」
東洋医学の経穴は、痛みを消すスイッチではありません。
身体の状態に応じて、
回復力を引き出す
過剰な緊張を抜く
巡りを回復させる
ための要所です。
弁証が的確であれば、使う経穴は多くなくて済みます。刺激も、強くする必要はありません。
和鍼治療院が少数の経穴、やさしい刺激を大切にしているのは、診断を重視しているからに他なりません。
五十肩が教えてくれる、東洋医学の本質
五十肩は、「肩を使いすぎた結果」だけで起こる症状ではありません。
長年の生活習慣、疲労の蓄積、回復力の低下。それらが重なった結果として、肩という“表に出やすい場所”に現れます。
だからこそ、診断が変われば、治療は変わる。弁証が違えば、経穴選択も変わる。
和鍼治療院では、症状名に合わせて治療をするのではなく、その人の身体の状態に合わせて、治療を組み立てることを大切にしています。
「なぜ、そこに鍼をするのか」その一つひとつに理由がある。
それが、和鍼治療院の治療です。



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