七草がゆ
- 1月7日
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消化器を休め、一年の身体を立て直す日
一月七日は「七草がゆ」を食す日として知られています。年中行事として親しまれている一方で、その本質は正月の飲食で疲弊した身体を立て直すための、極めて理にかなった養生法にあります。
正月の飲食がもたらす“見えない負担”
年末の忘年会から始まり、正月のごちそう、新年会へと続くこの時期は、・脂っこい料理・味の濃い食事・アルコール・不規則な時間帯の飲食が重なりやすく、消化器(東洋医学では脾胃)への負担が急激に増える時期です。
食べる量そのものよりも、「消化に時間のかかるもの」「身体を冷やす飲食」が続くことで、胃腸は休む間を失います。その結果、
胃の重だるさ
食後の眠気
便通の乱れ
朝の倦怠感といった不調が、本人も気づかぬまま蓄積していきます。
「寒の入り」と内外からの冷え
七草がゆを食べる一月七日前後は、二十四節気では「小寒」。この頃から本格的に寒の入りとなり、寒さは外気だけでなく、体内にも深く入り込みます。
消化器は冷えに弱い臓腑です。冷たい空気、冷えた床、薄着、そして冷やす飲食が重なると、脾胃の働きは鈍り、「食べたものをエネルギーに変える力」が低下します。
この状態で無理をすると、単なる胃腸症状にとどまらず、全身症状として現れるのが東洋医学の特徴です。
脾胃の乱れが、腰痛や首の痛みになる理由
例年この時期、「特に思い当たる原因がない腰痛」「朝起きたら急に首が回らなくなった」と訴える方が増えてきます。
一見すると筋肉や関節の問題に見えますが、背景には脾胃の弱りが関与しているケースが少なくありません。消化器が弱ると、筋肉や関節を養うエネルギーが不足し、わずかな冷えや寝姿勢の乱れでも、痛みとして表に出やすくなるのです。
七草がゆを食べる意味は、まさにここにあります。七日にいったん消化器を休ませ、整える。それは、腰や首を含めた全身を守るための“基礎工事”なのです。
七草がゆの由来と年中行事化の背景
七草がゆの起源は、中国の「人日(じんじつ)の節句」にさかのぼります。人日とは正月七日を人の日とし、無病息災を願う日。日本には平安時代に伝わり、当初は宮中行事として行われていました。
江戸時代に入ると、五節句の一つとして庶民にも広まり、現在のような年中行事として定着していきます。注目すべきは、時代が変わっても内容がほとんど変わっていない点です。それだけ、この習慣が身体の理にかなっていたという証でもあります。
現代人にこそ必要な「七日の一椀」
本来、七草がゆは特別な滋養をつける食事ではありません。・温かく・柔らかく・薄味という、脾胃をいたわる条件を満たした“引き算の養生”です。
七日に身体を一度リセットできるかどうかで、その後の一月、ひいては春先の体調まで変わってきます。もし七草がゆを食べても不調が抜けない場合、それはすでに消化器の疲れが深いサインかもしれません。
七草がゆは、単なる行事食ではなく、一年を健やかに過ごすための身体からの問いかけ。その声に耳を傾けることが、真の養生の第一歩となります。



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