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坐骨神経痛の治療例 70代女性

  • 11月11日
  • 読了時間: 3分
大阪本町鍼灸 和鍼治療院
大阪本町鍼灸 和鍼治療院

坐骨神経痛の原因は“胃”だった――70代女性の症例より

ある日、5年前に膝関節痛で通院されていた70代女性からお電話がありました。「左のお尻が痛くて、整形外科に行くように家族に言われたけれど、和鍼治療院のほうが原因を見つけてくれると思って」とのこと。久々の再診でしたので、あらためて問診票をご記入いただきました。

すると、「胸が苦しい」「動悸がある」という項目にチェックが。主訴は“坐骨神経痛”ですが、胸部の症状を見過ごすわけにはいきません。詳しく伺うと、食事とは関係なくお腹が張ったように感じ、その後に胸の苦しさや左脇から胸部にかけて痛みが出るとのこと。おならが出るとお腹の張りが楽になり、胸の圧迫感も軽減するという特徴がありました。ストレスや不安との関係を確認しましたが、特に思い当たることはないとのことでした。

次に、坐骨神経痛について詳しく伺いました。階段の昇降で左臀部に痛みが走るようになり、以降は寝床で横になると太ももにかけて痛みが続き、姿勢を変えながらようやく眠るという状態。症状だけを見れば、典型的な坐骨神経痛です。しかし、痛みが臀部にあるからといって、原因も同じ場所にあるとは限りません。坐骨神経は腰椎から枝分かれして走行しており、腰椎や骨盤、さらには内臓の不調が原因となることも少なくありません。

触診すると、左臀部の筋肉には異常な緊張はなく、むしろ右側のほうが硬い状態でした。梨状筋の過緊張による坐骨神経痛とは異なり、脊柱や内臓の影響を考えるべきサインです。脈を診ると、胃腸に関する反応が強く現れていました。そこで、全身の気血の流れを整えながら、消化器系の働きを高める治療を施しました。すると、施術後には臀部から太ももにかけての痛みが消失。仰向けで寝るのが楽になり、歩行時にも痛みを感じなくなったのです。

思い返せば、この方は過去の膝関節痛の際も「胃の働きの弱り」が関係していました。よく噛まずに食事をとる習慣や、歯の噛み合わせの不具合が胃腑に負担をかけ、筋肉や関節のトラブルとして現れていたのです。東洋医学では「胃は後天の本(こうてんのもと)」といい、食べ物から得た気血が身体を養う源とされています。胃腸の働きが弱ると、筋肉や関節への栄養が届かず、慢性的なこりや痛みを引き起こします。この症例は、まさにその典型でした。

西洋医学ではレントゲンやMRIで構造的な原因を探りますが、東洋医学では「体表観察」「脈診」「問診」など五感を通して全身のバランスを診ます。痛みの出ている部位ではなく、なぜそこに痛みが出たのかを全身の働きの乱れとして捉える――これが「本治(ほんち)」の考え方です。

痛みをその場しのぎで和らげるのではなく、根本原因から整えていく。これが和鍼治療院の鍼治療の特徴です。

坐骨神経痛や腰痛、膝痛でお悩みの方へ。整形外科で「異常なし」と言われても、東洋医学の観点からは違った原因が見つかることがあります。「身体の声」を丁寧に聴き、根本から整える鍼灸をお探しの方は、ぜひ一度ご相談ください。

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