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耐性菌

東洋医学の和鍼治療院・牡丹

平成28年9月、神戸で開催された先進7か国(G7)保健相会にて、「薬剤耐性菌」が主要課題の一つに取り上げられました。
かつて耐性菌が問題になったのは、病院内が中心でした。
ところが最近は、抗菌薬が効きにくい感染症が増加し、どこで誰が感染してもおかしくない状況となっています。
例えば、小学生に感染者が多いのが、マイコプラズマという細菌による肺炎です。

以前は、子供に使われていた抗菌薬を服用することで、治癒していたのですが、その抗菌薬に耐性をもつ菌が増加し、副作用の危険性が高い別の抗菌薬を使用せざる得ないことが起こっています。
重症化して入院する子供まで増加しているようです。
その他にも、怪我などによって細菌が骨に侵入し、炎症を起こすした場合、急性骨髄炎を発症することがありますが、これにも耐性菌が出現しています。

また、健康な妊婦さんの中に、耐性をもつ大腸菌を保持する人が現れ、出産時に赤ちゃんに感染し、命に関わるケースまであります。

耐性菌が増加する理由は、二つあります。
その一つが、抗菌薬の使い過ぎです。
日本の医療の特徴として、一種類の薬で多様な細菌に効く抗菌薬を多く使用しており、その使用料は世界の先進国でトップクラスです。
幅広く効果が見込めるため、安易に使われています。

しかし、同時に多種多様な細菌が耐性化する危険性が高まることにもなります。
しかも、栄養の分解や吸収に必要とされている体内の腸内細菌が死滅したり、減少したりします。
腸内細菌は、免疫にも深く関わりがあり、抗菌薬でバランスが崩れたことにより、生存した悪玉菌が毒素を出した場合に、腸炎を引き起こすことがあります。
酷い下痢や出血を起こし、高齢者などの抵抗力の弱い人では、死亡することもあります。


もう一つが、薬の不適切な使い方です。
例えば、風邪を罹患したときに、医師も患者も抗菌薬を安易に使用しています。
風邪の大部分はウイルス性ですから、細菌を殺す抗菌薬に効力は全くありません。

このような不適切な使い方は、遺伝子が変化した薬の効きにくい菌を増殖させ、周囲に感染を広げてしまいます。

耐性菌の脅威は、単なる人類だけの問題ではありません。

我々が使用すればするほど自然環境を汚染し、水質、土壌に生息する微生物までも耐性菌に侵されることになります。

 

服用のために口から飲んだ抗菌薬は、便から排出されます。

便の混じった下水は、水処理センターで浄化されますが、抗菌薬の成分は残ったままです。

日本環境化学会が、全国の一級河川の抗菌薬濃度を調査しました。

抗菌薬濃度の高かった川は、多摩川(東京都)、庄内川(愛知県)、大和川(大阪府)の都市河川であり、他の河川よりも突出していることも判明しています。

抗菌薬を含んだ川の水は、耐性菌を発生させることになります。

多摩川で耐性菌を調査すると、水処理センターの排出口より下流の領域で、2、3種類の抗菌薬に耐性を持つ菌が、たくさん見つかっています。

しかもそれ以外に、多摩川上流の水と泥にも多くの薬剤に耐性を持つ菌が検出され、人糞以外の原因を考えることが必要となりました。

その結果、養魚場で抗菌薬が使われていることが判明し、それが水と泥の汚染原因であることがわかりました。

このことから、人へ抗菌薬の使用はもちろんのこと、魚や家畜に使う抗菌薬も環境を汚染するため、総合的な対策が必要であると言えます。

 

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