和鍼治療院の症例
五十肩の症例
Uさん 80代前半
80代のUさんは、高齢者の中でもとても元気な方で、活動的に生活を送っておられます。
ところが、ある日から肩と首にきついコリ感が出るようなり、両腕を上げることができなくなりました。
四十肩や五十肩といわれる肩関節周囲炎は、通常、片方の肩のみに生じることが多く、両腕が上げることができなくなることは珍しいケースです。
望診にて、腕の挙上状況を確認すると、水平より上に肘を上げようとしても上がらない様子でした。
背中がかなり猫背となっていて、腕を上げようとすると首や肩にも痛みが出るようです。
問診にて、最近の体調を詳しく聞きました。
すると、2年程前より夜中の睡眠中に、下半身の筋肉がひきつるそうです。
いわゆる「こむら返り」で、ふくらはぎに出たり、ふとともに出たりと、あちこちと場所が移動するようでした。
いつ、どこに、こむら返りがでるのかわからず、常に筋弛緩剤を準備していて、症状が出たときにはすぐに服用して、対応しておられました。
切診で得られた情報と、問診の内容を照らし合わせると、Uさんの治療方針が決まりました。
まずは、骨盤と股関節の調節する必要があったので、それぞれの治療を行いました。
その後、肩の可動域の確認をしてもらうと、痛みを感じることなく、90度以上軽く肘を上げることができました。
可動域はスムーズに改善したのですが、腕の挙上後に首の後ろに痛みが残りました。
次に、夜間に下半身が頻繁にひきつることに関連する体質を調整する治療を行いました。
ツボを二か所使用し、その後、再び腕を挙上してもらいました。
すると、腕の挙上がさらに楽になり、可動域もさらに広がって、胸を広げることができるようになりました。
首の後ろに出ていた痛みもかなり軽減し、ずいぶん気分が楽になったご様子でした。
最後に気を中心に集める治療を行い、初診時の治療を終えました。
四日後の二回目は、前回の治療の効果が持続できており、両腕の可動域は改善できていました。
少し首の後ろに痛みが残るようで、初診時と同じ治療を行いました。
下半身のこむら返りは一度だけかるく発症しております。
その一週間後に行った三回目の治療の際、腕の可動域はほぼ健康な状態と同じなっていました。
肩を挙上するときの痛みは全くなく、背中や首に感じていた違和感もほとんど消失していました。
しかも、この一週間はこむら返りもなく、快適な睡眠ができているとのことでした。
80代のUさんは、高齢者ではありますが、非常に元気があるので、治療の効果が出やすい印象を受けました。
ご本人も、治療効果に大変驚かれ、とても喜んでいただけました。
ひとつ気になるのは、2年ほど前から出ている「こむら返り」です。
筋弛緩剤で対処療法を用いていたそうですが、体質を変えるには至ってなかったので、これからの体調を考慮すると、きちんと体質を整える必要がありました。
しかもこの体質が腰や背中の筋肉にも影響し、最終的に両腕の挙上にも影響を与えていることが解りました。
肩の可動域と、首の痛みは改善しましたが、しばらくは下半身の状態に着目する必要があります。