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鹹味

大阪本町鍼灸の漢方
大阪本町鍼灸の生薬

鹹味(かんみ)

水分の多い大根に塩をかけると、水がでて柔らかくなります。
ナメクジに塩をかけると、見る見るうちに縮んでしまい小さくなってしまいます。
これらは浸透圧が関係していて、塩分濃度の高い方に、低い方から細胞膜を通して水分が溶け出ることによる結果です。
このように、本来堅いものを軟らかくすることを軟堅作用と呼びます。
代表的な薬物は、海藻です。
甲状腺腫大のような腫瘍を小さくする働きがあります。
海藻をたくさん食べると下痢をすることがありますが、東洋医学的には便の固まりが軟らかくなったことによるものであると考えられます。
鹹味の物には濡、つまり潤す作用があります。
「濡す」というと水が多くなって湿が増すように思いますが、むしろ逆の作用を利用することで、水の多いものに対してこれを取り除くことになります。
東洋医学において、もっとも水の多い臓腑は腎になります。
人体を流れる血の中にも水があり、この水を除いて引き締めるために鹹味を用います。これが行き過ぎると血の中の水が不足し、粘度が増して血流が悪くなります。
さらに血に熱が生じることになり、口も渇き血圧も高くなりやすくなります。
疲れて元気が出ないときや、血圧の低い人には鹹味が助けになります。

適度な鹹味は血流をよくする作用がありますが、逆に鹹味の物をとりすぎるのは血の循環を悪くします。
塩辛い物をたくさん食べる地域に胃がんの発生率が高いことが統計的にわかっていますが、消化器の水分が体外に漏れ出て、臓器が熱を帯びやすくなることに原因があるのかもしれません。
戦国時代の武将の中に、鹹味を好んだ上杉謙信や織田信長がいます。
上杉謙信は、味噌や梅干による塩分の過剰摂取と長年の飲酒がたたり、脳溢血で亡くなったとされています。
織田信長は、慢性的に頭痛に悩まされていたことから、血圧が高かったのではないかと推測されていて、やはり塩分の多いものを食べていた可能性があります。

鹹味は取りすぎに気を付けて、上手に摂取することが大切のようです。

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