top of page
苦味
苦味(くみ)
「良薬は口に苦し」という言葉があるように、薬の味といえば苦味を思い出す人が多いのではないでしょうか。
実際に、漢方薬の約35%は苦みが占めていて、次に割合が多いのが27%ほどを占める辛味になります。
これを見る限り、口に苦いのが漢方薬といっても過言ではなさそうです。
「苦」の語源をたどると、「古い草」を示す象形文字から成り立っており、古くなり乾燥して固くなった草を表す字だったことがわかります。
苦味の作用は甘味とは正反対で、湿気を取る働き(燥潤作用)があるとされていて、身体の余分な水分(痰飲や湿証)の改善に使用されています。
それ以外に、苦味には、上部に昇ったものを下に降ろす働き(泄降作用)もあります。
「気一元論」に基ずく東洋医学にとって、気を下す作用は非常に重要になります。
例えば「逆上せ(のぼせ)」が関係する病には、泄降作用のある治療は欠かすことができません。
火によって巻き起こる炎や熱が上昇するように、体内に生じた逆上せや熱は身体の上部に起こることが多いです。
これに対して、熱を鎮める作用(瀉火作用)を利用して、上部にある火を引き下ろして消すことを試みます。
更年期障害で起こるフラッシュも逆上せの症状であり、苦味の瀉火作用と泄降作用を使って調整します。
これと似た作用に降気作用がり、咳や嘔吐、吐き気などを収める働きをします。
咳や嘔吐は通常の気の動きと逆であり、これを正常に戻すために気を下に引き下ろすように治療します。
さらにもう一つ重要な作用として、瀉下作用があり、排便を促進したり、下痢をさせたりする働きがあります。
下剤の代表に「大黄」があるのですが、これも苦い味がします。
bottom of page