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酸味

大阪本町鍼灸の漢方
大阪本町鍼灸の生薬

酸味(さんみ)

女性が妊娠後、味覚に変化が起こり、酸味を欲しくなるという話を良く耳にします。
妊婦になると「つわり」の症状が現れることがありますが、これと酸味が欲しくなることに関係があると思われます。


妊娠すると女性は気血のバランスが乱れやすくなります。
そのため情緒的に不安定なり、喜怒哀楽が激しく揺れ動くことがあります。
感情の起伏は「気」の流れに影響し、「気滞」を招くことになります。
気滞とは気が流れにくい状態で、消化能力にも大きな影響を及ぼします。
消化には、食べたものが口から胃・小腸を経由して大腸に到り、肛門から排泄されるという一連の流れがスムーズに行われる必要があるのですが、気滞があるとこの流れに問題が生じることになり、「吐き気」が生じることになります。
この状態こそが、「つわり」と考えられます。
吐き気は、気滞から生じた気逆により、気が突き上がることが原因ですが、これを調整するには酸味の「収斂作用」が最適ということになります。
「収斂作用」とは、気を引き締めることであり、下痢・咳・汗・尿・出血など身体の外部へ漏れ出ようとするものを、皮膚や粘膜を収縮させ鎮めることを意味します。

酸味の代表には、梅干しがあります。
下痢止めや咳止め、汗止め、食欲増進、口の渇きを癒す働きがあり、その効能は驚くほどに多く、収斂作用に非常に優れています。
「止渇の計」の故事があります。

三国志の武将・曹操が軍隊を引き連れて道に迷い、水がなくて渇きに苦しみました。

その際に、「前進すれば実のなった梅林があって渇きを癒すことができる」と兵たちを励ますと、口中に唾が出て、無事に進むことができたという話です。

また、戦国時代の武将たちは、城中に梅の木を植えて、籠城に備えたそうです。

酸味は適量なら良い効果を期待できますが、食べすぎると、酸味の収斂作用が働き過ぎて、かえってストレスや疲労を発散できなくなることがあるので摂り過ぎには注意が必要です。

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