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異病同治

和鍼治療院の異病同治

東洋医学の優れているところを端的に表す言葉に、「同病異治」がありました。

それと対をなす言葉に、「異病同治」があります。

それは、「異なる病を同じ治療方法で治す」という意味になります。

 

西洋医学の世話になっている方の中には、耳鼻科に、眼科に、整形外科に、内科に、泌尿器科に,様々な病院をいくつもはしごして回っておられることがあります。

あちこち病院に通うだけでもとても疲れるのではないでしょうか。

 

目は目の病気、耳は耳の病気、手の指は手の病気というように、「病名」によって区分されたことによって、専門の何科の病院に行けば良いのかを自分で判断しなければなりません。

ある種の症状においては、どこの何科へ行けばよいのかもわからなくなることもあるのではないでしょうか。

しかも、病名と病気の原因が一致しないこともあるので、注意が必要です。

 

東洋医学では、「同病異治」のところでも説明させてもらったように、病名で症状の診断や治療法を決めたりはしません。

あくまでも、診断は、「証」を立てることで病の根本を探り、治療としては、身体のバランスを取り戻すことで病を治そうとします。

 

例えば、手の指にはむくみやこわばり感があり、目には飛蚊症があり、耳鳴りや難聴がある場合、これらのすべての症状が同じ根本原因がもとで発症していることがあります。

風邪を引いたときに、悪寒があり、発熱があ愛室り、頭痛があるのと同じで、風邪が治ればこれらの症状は同時に改善します。

のどの痛みや鼻水、咳などの症状を伴うこともあります。

ところが、これらの症状は風邪が治っても残ることがあり、気管支炎や喘息、肺炎へと症状が変化してくこともありえます。

このことは、風邪症状といえでも、単に葛根湯を飲めば対応できるものではないことを意味します。

風邪の初期であれば葛根湯で良いといった誤ったことを言う方がいますが、危険なことです。

落語で「葛根湯医」の噺があるのですが、その意味は「やぶ医者」ということで使われています。

「風邪は万病のもと」と呼ばれるほど、あらゆる病気の要素を含んでおり、罹患する方の体質やその日の体調によっても、症状が多種多様になります。

「傷寒論」という書物には、風邪に対する薬の用い方について詳しく書かれており、過ちによって人を殺めないようにと厳しく戒めています。

 

風邪という一つの病名に対して、用いられる薬の種類は100種類を超えます。

これはまさに「同病異治」であります。

それとは反対に、頭痛、発熱、悪寒、関節痛など複数の症状があったとしても、麻黄湯という薬で全部の症状が楽になることもあります。

頭痛には頭痛薬、発熱には解熱剤、関節痛には鎮痛剤といった複数の薬を飲む必要はありません。

むしろそのような治療は、副作用によって身体のバランスを崩すことになり、命の危険すら生じることになるかもしれません。

複数の症状であっても、根本原因が同じであれば、一つの治療方針ですべての症状を治すことが可能となります。

このことを「異病同治」と呼んでいます。

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