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右手親指の痛み

4 日前
読了時間: 5分


症例 右手親指の痛み 東洋医学の和鍼治療院
症例 右手親指の痛み 東洋医学の和鍼治療院

痛風の疑いから始まった右手親指の痛み――病名ではなく身体全体を診る


「特に指をぶつけた覚えもないし、負担をかけた記憶もないのに、突然、親指が痛くなった」

50代男性の患者さんが、右手の親指の痛みを訴えて来院されました。

最初は突然の痛みだったそうですが、しばらくすると親指が腫れ、熱感も感じるようになってきました。

心配になって病院を受診したところ、痛風の可能性を疑われ、血液検査などを受けることになりました。

痛風というと、一般的には「足の親指が突然、赤く腫れて激しく痛む」というイメージが強いと思います。

今回の症状は、右手の親指。

私自身も、「痛風の疑いで、手の親指なのか」と少し意外に感じました。

もちろん、痛風は足の親指だけに起こるものではなく、手やほかの関節に症状が出ることもあります。

検査の結果については、患者さんから「痛風の疑いがあると言われた」と伺いました。

しかし、今回私が考えたいのは、病名そのものではありません。

なぜ、この人の身体に、今、この症状が現れたのか。

そこを東洋医学の視点から考えていくことにしました。


お箸も持てないほどの痛み

実は、この患者さんは以前、首の痛みで和鍼治療院に来院されたことがあります。

そのときの治療で症状が改善した経験があり、今回も来院してくださいました。

来院時には右手に湿布が貼られていましたが、それでも外から少し見ただけで、親指が腫れていることが分かります。

特に困っていたのが、親指を内側に曲げる動作でした。

痛みが強く、ほとんど曲げることができません。

「お箸を持つこともできない」

普段なら何気なく行っている動作ができなくなるほどの状態です。

そこで、まず現在の身体の状態を確認します。

ただし、親指だけを診るわけではありません。

東洋医学では、症状の出ている場所だけではなく、その人の体質や体調、身体全体のバランスを見ながら、今どのような状態になっているのかを考えていきます。


前回の「首」と今回の「親指」

今回の治療で特に参考になったのが、以前に首の痛みで来院されたときの治療内容でした。

前回は首。

今回は右手の親指。

場所だけを考えれば、まったく違う症状です。

しかし、以前の治療内容を振り返りながら、今回も体質と体調の両面から身体を診ていきました。

脈診、腹診などを活用し、全身の状態を確認しながら治療を開始します。

そして、鍼をするたびに身体がどのように変化するのかを慎重に確認していきます。

治療を進めていくと、次第に興味深いことが分かってきました。

今回の治療内容が、以前の首の痛みのときとほとんど同じだったのです。

首と親指。

一見すると、まったく関係のない場所です。

ところが、身体全体を診ていくと、そこに共通する身体の傾向が見えてきました。


疲労が蓄積すると、身体のどこかに症状が現れる

私は、疲労が蓄積し、生命力の低下した状態が長期間続くと、身体のどこかに緊張や拘縮という形で症状が現れることがあると考えています。

前回は、それが首に現れた。

今回は、右手の親指に現れた。

つまり、症状が現れた場所は違っていても、その背景にある身体の状態には共通する部分があったということです。

だからこそ、今回も痛みのある親指だけを治療するのではなく、身体全体の生命力を高めることを中心に治療を進めました。

治療後、先ほどまで感じていた親指の痛みがほぼ消失しました。

そして、痛みのためにできなかった親指を曲げることもできるようになりました。

患者さんにとって大きかったのは、何よりも日常生活が戻ってきたことです。


「お箸が持てるようになりました」

5日後、2回目の治療に来院された際、最初に報告してくださったのが、

「前回の治療のあと、お箸が持てるようになりました」

という言葉でした。

突然の痛みでお箸さえ持てなくなっていた状態から、再び持てるようになった。

これは患者さんにとって、とても大きな変化だと思います。

2回目の来院時には、指の痛みはほぼ消失していました。

ただし、親指の付け根にはまだ痛みが残っています。

そこで、もう一度身体全体を確認していきました。

すると、肩の周囲にはまだ筋肉の緊張が残っています。

親指の痛みだけを見るなら、かなり改善しています。

しかし、身体全体を見ると、まだ完全に緊張が抜け切っているわけではありません。

そのため、もう少し治療を続けることにしました。


病名があっても、「その人の身体」を診る

今回の症例で改めて感じたのは、病名がついたとしても、東洋医学ではそこからさらに「その人の身体」を診ていくことができるということです。

痛風という病名がある。

しかし、それだけで治療を考えるのではありません。

どのような体質なのか。

最近の疲労はどうなのか。

身体全体のバランスはどうなっているのか。

そして、なぜ今、この場所に症状が現れたのか。

そうしたことを一つひとつ確認していきます。

痛みのある場所だけが、その人の身体の状態をすべて語ってくれるわけではありません。

今回も、以前は首に現れた症状が、今回は右手の親指に現れました。

場所は違っていても、身体を丁寧に診ていくことで、共通するものが見えてきました。

東洋医学の治療では、病名だけを追いかけるのではなく、その人の身体が今どのような状態にあるのかを見つめていきます。

「痛いところを治す」のではなく、「なぜ、そこに症状が現れたのか」を身体全体から考える。

今回の右手の親指の痛みも、身体全体の状態が表した一つのサインだったのかもしれません。

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