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血管のはなし

健康と病

血管の構造

 

私たちの体内の血管には、動脈静脈の二種類があります。

血管の構造は、外膜・中膜・内膜という三層からなり、中膜に平滑筋があります。

平滑筋は主に内臓に広く分布していて、ゴムのように伸び縮みできる血管の弾力性のみなもととなっています。

動脈には、心臓から送り出された圧力の高い血液が流れるため、この平滑筋が厚いのが特徴です。

一方、静脈は平滑筋が薄く、血管の内径が広く、血液の逆流を防ぐための弁があります。

静脈の血流には、心臓のポンプ作用は届かず、周囲の筋肉の運動によって血液を心臓へと送り返します。

特に下半身の静脈は、重力に逆らって血液を心臓に運ぶため、筋肉の働きがとくに重要で、筋力が低下すると血流が滞り、むくみの原因となります。

このように動脈と静脈は同じ血管であっても、構造と役割に大きな違いがあります。

心臓の役割

 

私たちの身体の中に、どれほどの血液が流れているのかご存知でしょうか。
からだに流れている血液の総量は、個人の体重の8%、つまり体重の1/13と言われています。
体重が70kgの人であれば、5.6kgつまり約5.6リットルが血液の総量になります。
その総量の内、約10%は肝臓に蓄えられているので、体内を循環する血液量は約5リットルということになります。

 

この5リットルにもなる血液を心臓は全身に休むことなく循環させなければなりません。
心臓は、周期的に伸びたり縮んだりを繰り返し、血液を送り出すポンプの役割を果たす臓器です。
安静時に心臓が一回の収縮で動脈に送り出す血液の量は、平均70mlです。
1分間の心拍数を70回とすると、1分間で約5リットル(70ml×70回)となります。
この数値は、血液の総量とほぼ同じことになります。
わずか1分間の働きで、血液のすべてを一巡させる能力を心臓は保持しています。
一日に渡って送り出す血液の総量は、なんと7200リットル(5リットル×60分×24時間)にもなります。
各器官へ送られる血液の割合を比べてみると、脳15%、心臓5%、消化器25%、腎臓20%、骨格筋20%、その他15%になります。
筋肉への供給量よりも消化器への血液の供給が多いところが興味深いです。
我々に必要な栄養素を取り込む場所(消化器)にもっとも多くの血液を巡らすところは、「なるほど」と思わずにはいられません。


安静時に1分あたり5ℓの血液量は、運動時は5倍の25ℓになります。
さらに恒常性のすごいところは、内臓への血液量を減らし、運動によって活発に活動する骨格筋へ集中的に血液を増加させる点です。
骨格筋への血液量は、全体の80%にまで上昇するのですから驚きです。


 

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