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二十四節気「小暑」

  • 7月7日
  • 読了時間: 3分
小暑 二十四節季 夏の養生 和鍼治療院
小暑 二十四節季 夏の養生 和鍼治療院

陽極まれば陰生ず。本格的な夏を迎える前の養生とは

長く続いた雨もようやく落ち着き、青空が顔をのぞかせるようになりました。七月七日、七夕の日。今年は夜空に天の川が姿を見せてくれるかもしれません。

ふと耳を澄ませると、例年なら聞こえ始めるはずの蝉の声が、今年はまだ聞こえてきません。今年の六月は三十度を超える猛暑日がほとんどなく、二十五度前後の比較的過ごしやすい日が続きました。湿度は高かったものの、近年では穏やかな夏至だったように感じられます。

そして今日、二十四節気は「小暑」を迎えました。

「暑さが少しずつ始まる頃」という意味を持つ小暑ですが、実際にはこれから約一か月かけて暑さはさらに厳しさを増し、十五日後の大暑へ向かって一年の暑さの頂点を迎えます。

ここで一つ、不思議なことがあります。

一年で最も昼が長い日は夏至です。夏至を境に昼の時間は少しずつ短くなり始めます。東洋医学の陰陽論でいえば、陽が極まったその瞬間から、すでに陰が静かに芽生え、日ごとにその勢いを増していく時期に入っています。

つまり自然の理では、夏至以降は陽が少しずつ減り、陰が増えていくはずなのです。

ところが私たちが実際に感じる暑さは、その逆ともいえるほど増していきます。

この「自然の理」と「私たちが体感する暑さ」との間に生じる時間差には、大切な意味があります。

太陽から降り注ぐエネルギーは夏至を境に少しずつ減少しています。しかし、大地や海は春から初夏にかけて受け取った膨大な熱を蓄えています。その熱はすぐには失われることなく、時間をかけて地面や空気へ放出され続けます。そのため、太陽の勢いは弱まり始めていても、地表付近の気温はなお上昇し、大暑の頃に一年で最も暑くなるのです。

これは私たちの身体にもよく似ています。

疲労やストレスは、その日のうちに症状として現れるとは限りません。無理を重ねた結果、ある日突然、腰痛や肩こり、めまい、不眠、食欲不振、自律神経の乱れとして表面化することがあります。

自然界にも身体にも「時間差」が存在するのです。

東洋医学では「陽極まれば陰生ず」と考えます。物事は頂点に達した瞬間から次の変化が始まっています。しかし、その変化はゆっくりと進むため、人は目先の現象だけを見ていると気づくことができません。

だからこそ東洋医学は、症状が出てから対処するのではなく、症状が現れる前の身体の変化を整える「未病」を重視してきました。

小暑は、まさにその考え方を実践するための節目です。

暑さが本格化してから体調を整えようとしても、身体はすでに大きな負担を受けています。暑邪は体内の「気」と「津液」を消耗させ、湿邪は胃腸の働きを弱らせます。その結果、夏バテや倦怠感、頭重感、むくみ、不眠、食欲不振、熱中症など、さまざまな不調が現れやすくなります。

この時期は、冷たい飲食物の摂り過ぎを控え、胃腸をいたわる温かい食事を心掛けること、十分な睡眠を確保すること、適度に汗をかきながら体内の熱を逃がすことが大切です。そして何より、疲れを翌日に持ち越さないことが夏を元気に過ごす秘訣になります。

和鍼治療院では、このような季節の移り変わりを重視し、身体の状態を脈や腹部などから総合的に診ながら、その方に合わせた施術を行っています。症状だけを見るのではなく、「これから起こり得る不調」を未然に防ぐことも東洋医学の大切な役割です。

自然はいつも私たちより一歩先を歩いています。

昼の長さは少しずつ短くなり始めても、暑さはなお勢いを増していきます。この自然の営みに寄り添いながら暮らすことこそ、日本人が二十四節気を大切に受け継いできた理由なのでしょう。

本格的な夏はこれからです。

どうぞ今年も、ご自身の身体の声に耳を傾けながら、健やかに暑い季節をお過ごしください。

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