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第二話

自然死

「自然死」とはどんなものかご存じでしょうか?
核家族が一般的となり、お年寄りと別居することが定着して久しい時代です。

さらに養護老人ホームなど、世間と隔離されたところで余生を送るようになった昨今では、人の最後を看取る機会が減少しています。
ゆえに人がどのように死を迎えるのか知らずに生活している人が多いのではないでしょうか。
「自然死は餓死である」と言うのは、中村仁一氏です。

「大往生したけりゃ 医療とかかわるな」の著者であり、現代医学の医師です。

数百例の自然死を見届けてきた方だけに、その見識に耳を傾け、学ぶところがたくさんあります。

彼によると、人の死に際は、何の医療措置も行わなければ、夢うつつのような気持ちいい、穏やかな状態になるそうです。
私は祖母の見取りを経験しました。

特別養護老人ホームの一室で、10日間ほど飲まず食わずで眠り続け、静かに亡くなりました。

その間、穏やかな呼吸を続けて、全く苦しい様相を一度も見せることなく息を引き取りました。
祖母がそうであった様に、「自然死の実体」は「餓死」になります。

中村先生の著書に出会うまでは、祖母の死を「老衰」、つまり「自然死」であるとの確信を持てませんでした。

老衰死コースが7日から10日が多いことを知り、祖母の亡くなり方に不思議な満足感を覚えました。

餓死には、飢餓、脱水、酸欠状態、炭酸ガス貯溜が起こります。
どれもが生体にとって苦しくて辛いことのように思いますが、実際は異なるようです。
自然死を正しく学ぶことで、医療に対する考え方がきっと変わると思います。

そして東洋医学の「胃の気」という考え方が、生命を考える上でとても大切なことであることもわかっていただけると思います。

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