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不妊症と向き合う

健康と病

不妊治療について

治療を始める前に知ってほしいこと

妊娠しにくい原因

     (東洋医学)

妊娠しにくい原因

    (西洋医学)

この度、ご紹介するKさんは、38歳でご結婚されました。

Kさんは結婚する前から強く「子宝」を望んでおられたので、結婚後、ご夫婦ですぐに健康診断を病院で受けておられます。

不妊症の問題は女性ばかりに原因があると思われる傾向がありますが、男性にも身体的問題が見つかることがあるので、ご夫婦で検査を受けることがとても大切です。

Kさんのケースでは、ご主人の精子の活動が鈍いことが判明し、自然妊娠が難しいことがわかりました。

そこでご夫婦は人工授精の治療を導入する選択をされます。

健康診断を早期に受診されたことが、不妊治療を開始する選択を速やかにできた最大の要因だったと思います。

結婚後に、ご夫婦で健康診断を受信されることは、妊娠活動への第一歩と言えるのではないでしょうか。

 

Kさんご夫婦は、半年ほど人工授精を試みることになるのですが、なかなか期待している結果がでませんでした。

ご夫婦の場合、人工授精では妊娠に至る確率が低いことは予想できていましたので、人工授精から体外受精へとすぐに治療方法を変更されます。

 

体外受精へと治療方法を切り替えるあたり、治療を受ける病院を三回変えることになります。

最初の病院は、排卵誘発剤を使用しない「完全自然法」を受けられるところを選択されます。

この選択は、少しでもご自身の身体への負担を軽減することを考慮してのことです。

無事に2つの受精卵を保存することができたので、順番に子宮へ戻すことを試みました。

しかし、どちらの受精卵も着床に至ることができませんでした。

この結果を踏まえて、たくさんの卵子を採取できる方法である排卵誘発剤を使用することを決意されます。

 

次に選んだ病院では、排卵誘発剤を使用し、多くの卵子の中から有力候補を2つ選択し、受精卵として子宮へと戻すことになりました。

しかし、残念ながらここでも着床反応はありませんでした。

ご結婚から4回目の体外受精までに費やした日数が、すでに2年を経過しており、一度も着床にいたることができないことに悩むことになれます。

そんな時、ご自身の体質にも妊娠しにくい原因があるのではないかと考えるようになり、東洋医学を用いることで体質改善を図ろうと思われました。

タイミングよく、お知り合いの方から和鍼治療院を紹介され、2016年の10月から鍼灸治療を始めることになりました。

そして鍼灸治療を始めてから5か月が経過したころ、冷え性が改善しはじめました。

当治療院の治療において、Kさんの体質改善のペースは非常に順調であり、比較的スムーズに治療効果が現れていると感じていました。

 

2017年3月は、春とはいえまだまだ寒さが残る時期でした。

それでもKさんは、下腹部や腰部に今まで感じることのなかった温かさを感じることができるようになっていました。

このことでKさんの生命力がかなりアップしていることを私は確信しました。

ちょうどその頃、妊娠の可能性が期待できる状態となってきたことを実感されたKさんは、5回目の体外受精を行うことを決意されます。

Kさんにとって5回目の体外受精は、鍼灸治療を始めてから最初の体外受精となります。

前回、排卵誘発剤での使用で、薬の身体への負担をかなり過剰に感じたことにより、今回の採取は「完全自然法」に戻すことにされました。

最終的に、3つの受精卵を凍結し、確率の高いものから順番に子宮へと戻すことになりました。

鍼灸治療を受ける前から保存していた受精卵の最初は、期待と緊張の中で迎えた結果報告で、「無事に胎盤への着床を確認することができた」というものとなりました。

「初めての胎盤への着床」という「なんともうれしい結果」でしたので、Kさんご夫婦はもちろんのこと、私もこの感動に感謝しかありませんでした。

ところが4週間後の検査で受精卵に心音が聞こえないことが判明し、受精卵にその後の成長がないことがわかります。

たとえ人の手で選び抜いた卵子と精子であっても、100%の成長が期待できないことを知りました。

あらためて妊娠することの難しさを実感することになります。

それから3か月後に6回目の体外受精を行う運びとなります。

受精卵は前回よりも確率は低いとされていたものですが、うれしいことに今回も無事に胎盤へ着床したことを確認することができました。

この時点で、Kさんの体質改善がしっかりとできていましたので、大きな体調の変化も起こることなく、しっかりと安定した状態が維持できていました。

このことが、受精卵の胎盤への着床を助けていると思われました。

しかし、今回も受精卵の問題で、4週間後に心音を聞くことができませんでした。

この時点で、二回連続で受精卵が着床できた喜びと、二度も心音が聞こえるところまで到達できなかった無念さの両方を噛み締めることになりました。

Kさんの心中を思うと、かける言葉が見当たりませんでした。

私はとても複雑な感情を持つようになります。

それはここまで継続してきた治療によって、Kさんがこれ以上にないくらいに体調が良くなっておられたことです。

そのことを最も実感しておられたのもKさんでした。

しかしながら、最後に残る受精卵は、もっとも妊娠に至る可能性が低い上に、質に関しても合格ラインぎりぎりと診断されていた卵子だったのです。

最後に保存されている受精卵に望みを託すかどうかを決める必要がありましたが、Kさんは迷うことなく挑戦することを選択されました。

 

そして最後となった7回目を行うことになります。

最初から体外受精は6回と決めておられたのですが、採卵の際に一つ多く保存していた最後の受精卵を子宮にもどすことになりました。

受精卵の質としては、妊娠の可能性が最も低いと診断されていた受精卵です。

Kさんは、これが本当に最後の体外受精と決意され、3か月後に決行しました。

みんなの想いのが天に届いたのでしょうか、ついに受精卵に心音が確認でき、妊娠に至ることができたことを知ったのでした。

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