夏至
- 和鍼治療院 小島秀輝
- 2 日前
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陽極まりて陰生ず、これから始まる本当の夏への備え
6月21日、今年も夏至を迎えました。
夏至は二十四節気の第10番目にあたり、一年のうちで最も昼の時間が長くなる日として知られています。太陽の力が最も強く感じられる節目であり、古来より農作業や養生の上でも重要な意味を持つ時期とされてきました。
東洋思想では、夏至は単に昼が長い日ではありません。
冬至から始まった陽気の成長がついに完成する日でもあります。
昨年12月の冬至、十二消息卦では「復卦(一陽来復)」から一年の循環が始まりました。地中深くに隠れていた陽気がわずかに芽吹き、立春、春分を経て少しずつ勢いを増していきます。そして夏至を迎えた今、その陽気は頂点に達します。
十二消息卦では乾為天。
六本すべての爻が陽で構成される卦です。
天の健やかな運行を象徴し、生命力が最も充実した状態を表します。
しかし、『易経』は同時に「物極まれば必ず転ず」と教えています。
夏至は陽気の完成であると同時に、陰が生まれ始める節目でもあります。
「陽極まりて陰生ず」
自然界はここから静かに次の季節へ向かう準備を始めるのです。
この視点は現代人の養生にも大切な示唆を与えてくれます。
勢いのある時ほど無理をしやすく、体力を過信しやすいものです。しかし自然界はすでに次の変化へ向けて動き始めています。
私たちもまた、来るべき盛夏に備えて身体を整える時期に入ったと言えるでしょう。
さて、今年の気候を振り返ると、例年とは少し異なる印象があります。
世界的にはエルニーニョ現象の発生が報告され、その影響が注目されています。一般にエルニーニョの年は長雨や日照不足、気温の変化などが話題になりますが、日本列島は南北に長く、地域差も大きいため、一律には語れません。
少なくとも大阪市中央区周辺で日々診療を行う中では、近年の6月に比べると比較的過ごしやすい日が多かったように感じます。
もちろん夏へ向かっていることに変わりはありません。
治療院では6月に入ってから軽く冷房を使用しています。患者さんが徒歩で来院されるだけでも室温は上昇しますし、人の出入りや照明の熱も加わります。
実際に6月20日頃には、人が集まるだけで室内の温度が上昇し、風呂上がりの体温がなかなか下がらないほどの蒸し暑さを感じました。今年初めて冷房をしっかり使用したのもその頃です。
しかし、それ以外の日を振り返ると、近年のような耐え難い蒸し暑さが連日続くという印象はありませんでした。
むしろ今年の特徴は、暑さそのものよりも、気圧や湿度の変化による影響が体質的な弱点を持つ方に現れていることです。
実際に患者さんの症状として目立っていたのは、
耳鳴りや耳閉感
めまい
喘息様の咳
長引く咳
下肢の浮腫
身体の重だるさ
などです。
これらは一見すると異なる症状ですが、東洋医学では「水」の巡りの失調という共通点があります。
梅雨は湿気が増える季節です。
しかし問題は湿気そのものではありません。
身体がその環境変化に対応できるかどうかが重要なのです。
脾胃の働きが弱い方は余分な水分を処理しきれなくなり、むくみや胃腸症状として現れます。
肺が弱い方は咳や痰が増えます。
腎の機能が低下している方は耳の症状や下肢の浮腫として現れることがあります。
健康な方には何でもない天候の変化でも、体質的な弱点がある方には症状として表面化するのです。
東洋医学では、このような状態になる前に身体を整えることを重視します。
これを「未病を治す」といいます。
病気になってから治療するのではなく、不調の芽を早い段階で摘み取るという考え方です。
これから例年であれば7月20日頃の梅雨明けを迎えます。
本格的な夏はまだ始まっていません。
むしろ夏至を過ぎた今こそ、これから訪れる小暑、大暑、長夏へ向けて身体を準備する時期です。
冷たい飲食物の摂り過ぎを避けること。
適度に身体を動かして汗をかくこと。
十分な睡眠を確保すること。
胃腸を労わる食事を心掛けること。
こうした日々の積み重ねが、盛夏を健やかに乗り切る力となります。
夏至は一年の折り返し地点です。
冬至から育まれてきた陽気は完成し、自然界は静かに次の変化へ向かい始めています。
耳の違和感、長引く咳、むくみ、倦怠感など、小さな不調は身体からの大切なメッセージです。
季節の変化に合わせて身体を整え、来るべき本格的な夏に備える。
それこそが東洋医学の養生であり、健康への近道ではないでしょうか。
もし気になる症状が続くようでしたら、早めの対策をお勧めします。
季節に先んじて身体を整えることが、健やかな夏を迎える第一歩となるのです。



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