- 大阪本町鍼灸 和鍼治療院 小島秀輝
2018 熱中症
2018年の夏は、体温を上回るほどの暑い日が続きました。
連日のニュースでは、熱中症で病院に搬送される人が増加する様子が報道され、これらすべてが前例がないほど記録的な現象となりました。
不思議な現象は、和鍼治療院にもおこりました。
お盆が過ぎの8月17日以降、一日に訪れる患者さんの半数に熱中症の関与があったのです。
開業して10年以上が経ちますが、これほど多くの熱中症治療をした経験はありません。
備忘録として記す必要を感じましたので、詳細を報告します。
お盆前には3人ほどだった熱中症の患者さんが、お盆以降は過半数に急増。
しかも、久しぶりに訪れた患者さん、新たに来院した患者さんの双方に関しては、ほぼ100パーセントの確率で熱中症による体調不良がありました。
そして、それは9月の末まで継続となっています。
「熱中症」といえば、どのような症状が思い浮かぶでしょう。
来院した患者さんに質問したところ、「脱水症状」を挙げる人はおられますが、多くの方はそれ以外の症状の返答に困りました。
熱中症とは、具体的な症状ではなく、暑さで身体が犯されている状態を表します。
それゆえに、和鍼治療院に訪れた患者さんの症状も多種多様で、その種類の多さには驚きです。
共通している点は、同じツボを使って治療を行ったことです。
同じツボを使って、異なる症状が改善したところに、「熱中症」と診断した根拠があります。
まさに「異病同治」の言葉通りの結果が出たことになります。
その治療内容とは、「心の臓」の調整を意味します。
つまり東洋医学では、「熱中症は、心臓に影響を及ぼす」ということになります。
さらにそこから他の臓腑に影響が及ぶと、複数の臓器に関係する症状が発症します。
いろいろなケースがあったので、それらをまとめて紹介します。
A 口内炎が、舌先や口の内側にできる
B 下半身にふらつきがあり、歩行に影響がでる
C 左肩から左肩甲骨の周辺に肩こり
D 手の指先がこわばり、右肘の内側が緊張する
E 握力が低下し、モノを落としそうになる
F 心臓の周辺に冷えを感じる
G 顔面麻痺
H 舌の動きが悪くなり、しゃべることが困難
I 便秘
J 腹痛
K 身体の震え(運動中)
L 頭痛
M 身体のほてりと多汗 (額と胸に汗をかく)
N 寝違え
O 腰痛や股関節痛
P 下肢のひきつり
Q 喉の痛み
R 睡眠障害 (入眠困難と眠りが浅く、何回も目が覚める)
S 不整脈
T 味覚障害
これらを「熱中症」とすることに多くの方が疑問を持つかもしれません。
しかし、それらの症状に対する治療内容が、東洋医学的には「心の臓」に対しての調整となり、しかもそれによって改善したことは間違いない事実なのです。
年間を通して、「心臓の治療」を行うことはそもそも稀なことであり、過半数を超える患者さんに、日々、治療を行なったことが非常に不思議で、稀有なことなのです。
お盆過ぎに体調を崩して、以上の症状で悩んでおられた方には、ある共通点があります。
それは、お盆休みの間に、太陽の光を長時間浴びておられることです。
例えば、お墓参りや海水浴、遊園地やショッピング、ゴルフ、ベランダの掃除など、屋外での活動後に体調不良となっておられます。
それらの活動直後よりも、少し日にちが経過してから来院された方が多く、1ヶ月ほど症状を我慢しておられた人までおられます。
どの方も、熱中症と思っていた人はおられませんでした。
その理由の一つは、それぞれが良く抱え込む症状として発症していたからのようです。
暴飲暴食で寝違えを起こしやすい人は、寝違えのように首が回らなくなり、立ち仕事で腰痛を起こしやすい人は、股関節を痛めるというような感じです。
10月に入り、さすがに熱中症に罹患する人はおられないとは思いますが、夏場に罹患してそのまま持ち越しておられる人が現在もおられます。
体調が何となく良くなく、しかも原因がよく解らないとお悩みの人がおられましたら、ひょっとしたら「熱中症」が残っているからかもしれません。
西洋医学では判明しなくても、東洋医学の診断ならきちんと判明できます。
しかも的確な治療ができて、体もその場でスッキリしてもらえると思います。
最近では「秋バテ」という言葉もあるようで、急な気温差で、自律神経が乱れやすくなる時期です。
夏の疲れはこの時期に悪化しますので、くれぐれもお気を付けてください。