エントロピーの増大
「生物の死」は、生命現象の終焉を意味します。
これを物理学の世界では、「エントロピー最大の状態」と呼ぶそうです。
エントロピーとは、乱雑さ、つまりどれくらいランダムであるかを表す尺度です。
すべての物理学的プロセスは、物質の拡散が均一なランダム状態に達するようにエントロピー最大の方向へ動き、そこに達したときに終わります。
これを「エントロピー増大の法則」と呼びます。
なにやら難しく感じるのですが、この物理学的プロセスの一例を紹介します。 水をはった水槽に、インクを落として入れてみます。
インクは濃度勾配(グラデーション)によって、ランダムに水中に拡散し、やがて一様に広がり、平衡状態に達します。
どこの水をすくってみても、同じインク濃度になっている状態、つまり変化が無くなる状態がエントロピー最大の状態です。
「エントロピー最大の状態」は「熱力学的平衡状態」とも呼ばれており、物質の勾配、温度の分布、エネルギーの分布、化学ポテンシャルと呼ばれる反応性の傾向において、速やかにその差が解消されて均一化することを意味しています。
インクの