不顕性感染(後編)
不顕性感染の確率が高い菌に、「コレラ」があります。
コレラ菌に感染しても半数以上の人は発症しないと言われています。
コレラが世界的に流行した時代、二人の学者が「公開実験」を行いました。
その一人であるコッホは、エジプトでコレラ菌を発見しました。
彼は、コレラ菌そのものが、コレラという伝染病の原因であると主張します。 それに対して、コレラは、ある未知の生物が、土壌にある未知の要因によって、伝染物質を作るからであると主張したのが、ペッテンコーヘルです。
彼は、「コレラは二次的産物に過ぎない」という「コレラ土壌学説」を唱えました。
二人は激しく論争を繰り返し、とうとうペッテンコーヘルはコッホが準備したコレラ菌の培養液を多くの人の前で飲んで見せるという暴挙にでました。
コレラの潜伏期間は長くて5日です。
実験を目の当たりした人々は、かたずを飲んでペッテンコーヘルを見守りしましたが、一向に発症する気配はなく、元気に大学に姿を現していました。
つまりコレラ菌に感染はしていても、発症しなかったわけです。
命がけの公開実験で、感染と発病は異な