- 小島 秀輝
眼精疲労と無月経 (下)
原因究明がいよいよ難しくなりました。
そんな時、寝不足となったきっかけを思い出しました。
何気なくした会話で知ったことですが、ネットでドラマを観ることにはまってしまったようです。
私も韓国ドラマにはまったことがあるので、ついつい連続で観てしまう気持ちはよくわかりました。
寝不足になることは心配しましたが、ドラマの見過ぎまでには意識が及びませんでした。
現代は、スマホがあれば、時間と場所に拘束されず、好きな時に好きなだけ観ることができます。
ついつい目の使い過ぎとなり、ブルーライトの影響を強く受けることとなります。
Mさんは、眼精疲労を感じていたわけではありません。
それゆえ、目の使い過ぎに気が付くのが遅れてしまいました。
ドラマを観ることを控えてもらうことを提案し、彼女もチャレンジしてみることを快諾してくれました。
それから数週間すると、不安定だった体温に変化が現れ、体温が上昇するようになりました。
しばらく血虚の反応は継続していましたが、ある日の治療で血虚が消失したことが確認できました。
すると、その後にすぐに月経が訪れたのでした。
なんとか目標を達成できて、Mさんと大喜びしました。
眼精疲労がまさか無月経と関係しているとは、ある意味、奇跡的な出来事です。
ここで重要なことは、目と月経との関連です。
西洋医学では全く解明できない話ですが、東洋医学は血と目がとても関係が深いのです。
目という受容体は、肝臓と関係があります。
東洋医学では、「肝は目に開竅(かいきょう)する」とされていて、目の治療に肝臓の経絡を使うこともあります。
一方で、「肝臓は血を蔵す」ということも言われます。
肝臓という臓腑そのものが、血との関連が深いことを示しています。
以上のことから、眼精疲労が肝臓に影響し、肝臓の疲弊が血虚へとなったことが導きだされたのでした。
東洋医学を学んだ人であっても、なかなか想像できない症例ではないでしょうか。
ひとつひとつ考えられる原因を調べてゆき、ようやく最後にたどり着いた原因でした。
睡眠の可能性が高いと思われたのですが、まさかのドラマの視聴だったとは。
目の酷使ということもあるのかもしれませんが、ブルーライトという新たな光によって、想像している以上の眼精疲労、つまりは網膜への負担が広がっているのかもしれません。
紫外線は白内障と関係するとも言われますので、スマホの使い過ぎには気をつけたほうがよさそうです。
私たちの想像を超えて、ブルーライトの光は「肝臓」へと影響を与えているのですから
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