- 和鍼治療院 小島秀輝
冷え性の原因と種類
治療の際、冷え性で悩んでおられる女性をたくさんお見受けします。
「冷え性」の原因は様々であり、「冷え」を感じる病気にもいろんなタイプがあります。
そのため、冷え性の改善には、きめ細かい分析が必要となります。
診断と治療がうまくかみ合ってこそ、冷え性を克服できるようになります。
このブログでは、「冷え性の多様性」についてご紹介します。
脊柱管狭窄症がある場合、足の指先が痺れたり、冷たく感じたりする症状が出ます。
時には、ふくらはぎ、太腿、下腹部に至るまで冷え感が出て、苦心されているケースもあります。
このような症状でお悩みの方は、温シップやカイロなどを患部に当てて、不定愁訴を和らげておられます。
しかしながら、悩みである「冷え」という症状は、冷えている患部に原因が必ずしもあるわけではありません。
そのため、患部をどれほど温めても、病気の改善は期待できないことになります。
病巣は、腰部の脊柱管の狭窄にあり、血行不良や神経圧迫と考えられているため、真に冷えを取り除くには姿勢の改善を図ることを治療の目標としなければなりません。
また、低体温症のため、体温が36度未満の人もかなりおられます。
はっきりとした症状がない場合や、今出ている症状との因果関係や関連性が不明確なため、低体温であることをあまり問題視しておられない人が多いように感じます。
私たちの体温は、ホメオタシスの恩恵により、36・5度ぐらいになるように設定されています。
風邪などの感染症に罹患した場合、発熱が起こり、体温が2度から3度ほど上昇することがあります。
40度ぐらいの発熱でもびくともしない身体を持っているのですが、一方で35度を体温が下回ると私たちの機能は著しく低下し、死に至ることもありえます。
とくに低体温の方の免疫機能の低下は問題視されており、「がんの発生を予防できない状態になっている」という話も耳にします。
低体温症を冷え性と認識していない人もおられますが、「陽気の不足」という観点からすれば、これこそが本当の「冷え性」ではないかと思います。
これ以外にも、下腹部が冷えて、元気が出ないという人がおられたりします。
「不妊症」で悩んでおられる方もこれに相応していると思われます。
和鍼治療院の不妊症の症例において、無事に妊娠できた方がおられます。
40代での初産になるKさんも、下腹部の冷え感がありました。
体外受精を計7回試みたのですが、鍼灸治療を始める前に行なった4回の胚移植はすべて着床にまで至ることはありませんでした。
ところが、鍼灸治療をはじめてから下腹部の冷え感が消失したのちに行なった3回の胚移植は、すべて着床という結果となりました。
100パーセントの確率を達成できたことはあまりも驚きでした。
体質改善の重要性をあらためて実感した治療内容でした。
詳しく知りたい方は、和鍼治療院のトピックの一つ、「不妊治療」を参考にしてください。
そちらに詳しい治療経過を掲載しております。
冬になると急激にマイナス思考になる人もおられます。
夏は陽気が盛んなため、元気になるのですが、冬場は心身ともに元気が消耗し、体調が悪化しやすくなります。
朝の冷え込みがきつい日はとくに陽気が少なく感じるようで、一日調子が悪くなり、泌尿障害が出たりする方がおられます。
このような症状が年末の冬場よりも、2月以降の春先の冷えに対して敏感になっておられるのも特徴的です。
「四気調神大論」を参考にすると、夏と秋の養生が重要ということになります。
空調設備が整っている現代では、夏にはあらゆるところで冷房が入るので、身体を冷やさないように保つことが難しい状況です。
また、冷蔵庫の普及により、いつでも冷えた飲料水を口にすることができます。
運動などでオーバーヒート状態となっている時は、氷入りの飲料水が必要となるでしょうが、涼しい冷房の部屋にこもっているようなときは、飲み物にも気を配るべきです。
私たちの腸内には100兆以上の細菌が共生していて、食べ物の消化・吸収、免疫機能との関係が注目されています。
お腹を冷やす行為が腸内の細菌に悪影響を与えることは、想像に難くありません。
身体の内外ともに冷やさないようにすることがやはり養生として大切のようです。
「冷える」ということにより、いろんな症状や病気になるということが分かっていただけたのではないでしょうか。