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アスクレピオスの杖


WHO(世界保健機構)のシンボルマークが、「アスクレピオスの杖」です。 杖に蛇が巻き付いた形をしています。 一見すると、医療と蛇がどうして結びつくのか、奇妙な感じがしませんか。

実は、蛇には特有の性質があります。 蛇はどんなに表面が傷ついても、脱皮をすることによって、元通りの傷一つない姿に戻ることができます。 その能力が評価されて、「再生と治癒のシンボル」とされているそうです。 その「アスクレピオスの杖」ですが、名前の由来となったアスクレピオスとは、どのような人物なのでしょうか。 アスクレピオスは、古代のギリシャ神話に登場する名医です。 優れた医術の技を身に付けており、死者すら蘇らせたという伝説が残っています。 後に神の座につき、「医神」として、多くの医師から崇められました。 「へび使い座の神」としても有名です。 古代ギリシヤ時代、医神アスクレピオスの庇護のもと、多くの医師たちは仕事をしていました。 アスクレピオスを信奉して止まない医師たちは、自分達の役割を病気の治癒にあるとし、誕生や生にまつわる偶然が引き起こす何らかの欠陥を正すことが健康を回復する手立てになると信じていました。 この考え方が、現代主流となっている西洋医学に受け継がれていくことになります。 西洋医学において、病原体の撲滅が医療の基本となっている理由です。 現在、救急車やWHOのシンボルマークに、「アスクレピオスの杖」が使われているのは、現代医学がアスクレピオスを信奉していることの証でしょう。

西洋において、科学的医学の中心となる課題は、病気の外的因子の正体を解明することと、それを叩きのめす武器である薬を開発することにありました。

20世紀半ばの輝かしい成果は、抗生物質の発見でした。

それによって、西洋医学は、細菌によって起こる感染症との戦いに、絶大な勝利をおさめることができました。

その勝利によって、アスクレピオス派の信頼はより強固なものとなり、テクノロジーの進歩と足並みをそろえるように高額な開発費を投じて、新薬の開発が続けられています。

現代医学は、ますますテクノロジーに依存するようになっており、高騰する医療費をだれが負担するのかという議論にばかり注目が集まるようになっています。

輝かしい勝利ばかりかと思われたアスクレピオス派の医療ですが、その武器にも陰りが出ています。 「特効薬」と思われた抗菌剤ですが、近年、その効力が急激に低下しています。 病原体である細菌が、急速な勢いで、新しい抵抗メカニズムを生み出し、以前ならば、抗生物質を使って治療できたはずの感染症が抑制できなくなってきています。

しかも、抗生物質の使用は、腸内細菌を殺すことになります。

免疫機能との関連が注目される腸内細菌ですから、抗生物質の使用には注意が必要です。

外的因子を叩きのめすことと、内的因子である免疫力を高めることとは、同時には無しえない矛盾を抱えています。