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立春

小島 秀輝

2025年2月3日は立春です。

初候「東風氷を解く」

東風とは、春風のことですが、春風は本来、南から吹く暖かい風のことを言います。

それではなぜ東風と呼ばれるのでしょうか。

二十四節気、七十二候は、どちらも中国から日本に伝わった暦ですから、中国発祥の陰陽五行の思想と関係があります。

春は木気に属して、方位は東を司ります。

そのため、春風のことを東風と呼ぶのです。


立春とは、初めて春の兆しが現れる頃ですから、この季節に入って最初に吹く東風の強い風のことが「春一番」になります。

春一番は、もともと能登や志摩の以西、また長崎県の壱岐島の漁師たちが呼んでいた風の名で、歳時記や新聞で取り上げられたことで日本中に広がったとされています。

この春風でやっかいなのが、スギ花粉が飛散することです。

立春を過ぎたころから、不思議なほど花粉症の症状が出現します。

春は木の芽時にあたり、春一番の山菜では「蕗の薹(ふきのとう)」が旬の野菜です。

若芽にはエネルギーが蓄積され、独特の香りや苦みが新陳代謝を促します。

春の旬の野菜はエネルギーが強く、食べ過ぎると気がのぼせて、花粉症などの悪化につながります。

耳鳴りやめまい、喘息やアトピー性皮膚炎が悪化することもよくあります。

木気は「条達を好む」とされていて、上や外へと伸びやかでしなやかなことが良いとされます。

冬の寒さで凝り固まった身体を少しずつ緩めていくのがポイントです。

木に囲いができると「困」という字になります。

ゆったりとした服を着たり、散歩で身体を動かしたり、早起きをして陽気を取り入れることが自律神経を整えて、気の流れを調整するために効果があるとされています。


祭事で大切なことが「若水」です。

今ではお正月の習慣となっていますが、本来、立春から始まる新年に初めて汲んだ水のことを「若水」と呼びました。

健康や豊作、幸せを招く水とされています。

若水は、まず神棚にお供えし、それから食事の支度、洗顔にと使います。

その若水で入れたお茶のことを「福茶」として、感謝の気持ちでいただくそうです。

旧暦から新暦に移り変わる中で、若水の習慣が変わりましたが、本来の若水も大切にしたいと思います。

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